2022年12月09日更新
【質問】
欧州の内分泌かく乱物質等の分類の規制について規制スケジュールを教えてください。
【回答】
欧州における化学品の分類、表示および包装に関しては、Regulation (EC) No 1272/2008(物質および混合物の分類、表示、包装のための有害性クラスおよび基準に関する規則:以降「CLP規則」と記述)で規定されています。 この規則の有害性クラス(hazard class)に、内分泌かく乱物質も新たに追加されることになりました。 欧州委員会は、2022年9月20日にCLP規則を改正する委員会委任規則の草案 1)(以降「改正案」と記述)を公表し、10月18日まで意見募集をしました。 これは内分泌かく乱物質等(内分泌かく乱物質、PBT、vPvB、PMT、vPvM)を新たに有害性クラスとして追加するものです。 最終的な採択は2022年末の予定で、改訂後官報に掲載された日から20日目に施行されます。
この規則の発効後、物質の分類は18か月以内に行わなければなりません。 但し、適用日までに上市されていた物質は、規則発効後42か月までに再分類すればよいとされています(改正案 付属書1 3.11.2.5項、4.2.2.5項参照)。 また、混合物に関しては、この規則の発効後36か月までに分類しなければならず、適用日までに上市されていた混合物は、規則発効後60か月までに再分類すればよいとされています(改正案 付属書1 3.11.3.4項、4.2.3.4項参照)。
スケジュールは以上ですが、ご参考のため、次項でCLP規則改正案の内分泌かく乱物質の分類に関して概要を説明します。
【改正の概要】
今回の改正案にはCLP規則付属書1の改正があり、ヒトの健康に対する内分泌かく乱物質の特性、環境に対する内分泌かく乱物質の特性、PBT・vPvBの特性、PMT・vPvMの特性、について追加されています。
内分泌かく乱物質の分類基準は、ヒトの健康に対するものは付属書1のパート3に追加(改正案 付属書1 3.11.2項参照)、環境に対するものは付属書1のパート4に追加(改正案 付属書1 4.2.2項参照)され、それぞれに下記の2つのカテゴリに分けられています。
(1) カテゴリ1:既知または推定される内分泌かく乱物質
ヒトや動物のデータ(環境に対するものは動物データ)から得られる以下の基準を全て満たす証拠を示すものでなければならない。
(a)内分泌特性
(b)無傷の生物またはその子孫および将来の世代における有害作用
(c)内分泌特性と有害作用との間に生物学的に妥当な関連がある
(2) カテゴリ2:内分泌かく乱性が疑われる物質
ヒトや動物のデータ(環境に対するものは動物データ)から得られる以下の基準を全て満たす証拠を示すものでなければならない。
(a)無傷の生物またはその子孫および将来の世代において内分泌活性および有害作用の証拠がある
(b)(a)で述べた証拠が、物質をカテゴリ1に分類する十分な説得力がない
(c)内分泌特性と有害作用との間に妥当な生物学的関連があるという証拠がある
また、混合物の分類基準は以下の2つのカテゴリで示されています。
(1) カテゴリ1:カテゴリ1に分類される成分を0.1%以上含む混合物
(2) カテゴリ2:カテゴリ2に分類される成分を1%以上含む混合物
改正案では、上記の分類基準の他に、ラベル表示要件などについても規定しています。
1)(EC)No.1272/2008 改正草案:
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