top of page

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q632.日本から輸出する成形品や混合物に対するカナダ特定有害物質禁止規則などの適用について

2023年03月17日更新

【質問】

カナダ特定有害物質禁止規則の対象物質は日本から輸出する電子機器などの成形品や混合物に影響しますか。それ以外にCEPAで成形品に関わるものがあれば教えてください。

 

【回答】

まずは、カナダの化学物質管理政策の最も基本的な法令であるカナダ環境保護法(CEPA)は1988年6月に制定され、その後国内物質リストを整備して1994年7月から新規物質届出制度が施行されました。 1999年4月にこの法律を大幅に改定し、「1999年カナダ環境保護法(CEPA1999)」1) とし、2000年3月から施行されています。


1999年カナダ環境保護法では用途、目的に応じて以下のような化学物質のリストが整備、運用されていることが特徴です:

(1)国内物質リスト (Domestic Substance List:DSL) :商業規模で、カナダで製造または輸入された物質のリスト。

(2)非国内物質リスト(Non-Domestic Substance List:NDSL):新規物質通知規則 (化学物質およびポリマー) で指定された取引量を超えて、カナダで商業的に使用されていないが、国際商取引されていることが知られている物質のリスト。

(3)輸出管理リスト(Export Control List:ECL):カナダでの使用が禁止または厳しく制限されているため、またはカナダが国際協定を通じて輸出を管理することに同意したために輸出が管理されている物質のリスト。


そしてDSL収載物質の中で同法第64条の規定条件を満たす物質が有害物質として指定を受け、同法のSchedule1:有害物質リスト( List of Toxic Substances)に収載されます。 この指定物質に対しては、同法第93条に従って、環境大臣の勧告に基づき、総督の指令により、輸入、製造、加工、使用等に関する各種規制を目的とした立法措置を執ることができます。


有害物質に対する具体的な法規制は、特定有害物質禁止規則(Prohibition of Certain Toxic Substances Regulations)2) によります。 これは2012年に制定されました。 特定有害物質規則は1999年カナダ環境保護法の下位法令で、1999年カナダ環境保護法にて有害物質として指定された物質を管理しています。 そのため、本規則のSchedule1および2に収載された物質およびそれを含む製品を対象としてこれらの製造、使用、販売、販売の申し出又は輸入を規制しています。 これにより成形品や混合物中に含有されるこれら物質の規制が図られています。


なお1999年カナダ環境保護法では成形品に対応する用語はEUのREACH規則におけるarticleとは異なり、manufactured item が使用されており、同法第3条において「その製造中に特定の物理的形状あるいはデザインに造り込まれていて、その形状或いはデザインの全てあるいは一部によってある機能(例えばその最終用途目的のための機能)を有しているもの」と説明されています。


その主な規制内容は以下です:

(1) 特定有害物質規則におけるSchedule 1の収載物質は、それが偶発的に含有される場合以外は、製造、使用、販売、販売の申し出又は輸入が禁止されますが、Schedule 1,part 2の収載物質については、それらを含む成形品において、その製造中に特定の物理的形状またはデザインに形成され、最終的な使用のために、全体的または部分的にその形状に依存する機能を有する様な場合にはこの禁止条項は適用されません。

(2) 特定有害物質あるいは成形品に含まれるこれら物質を10g超使用する場合には、それに関する所定の情報を、その有害物質またはそれを含む製品毎に使用前に大臣に年毎1回提出する必要があります。

(3) 特定有害物質の製造、使用等については、技術的、経済的に実現可能な他の代替あるいは代替品が無く、環境および人間の健康に対する有害物質の有害な影響を最小化または排除するために必要な措置を講じていること等を条件として許可されますが、その場合には大臣に申請し、許可証を取得しなければなりません。


以上の様にカナダでは、特定有害物質禁止規則による法規制がなされているため、日本の成形品や混合物をカナダへ輸出するには、これらの製品中に含まれる特定有害物質について、こうした規制内容への対応を図る必要があります。


【特定有害物質禁止規則の改正案】

2022年4月14日にカナダ官報パートI、第156巻、第20号:特定有害物質禁止規則、2022年 3) により改正案が官報で公示されました。 2006年から2012年の間に実施されたスクリーニング評価では、以下の5種類の物質は1999年カナダ環境保護法の下で環境に有毒であると結論付けられ、1999年カナダ環境保護法のSchedule 1の有毒物質のリストに追加済です。

・ペルフルオロオクタンスルホン酸塩、その塩およびその前駆体(PFOS)

・ペルフルオロオクタン酸、その塩およびその前駆体(PFOA)

・長鎖ペルフルオロカルボン酸、その塩およびそれらの前駆体(LC-PFCA)

・ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)

・ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)

これら物質およびこれらを含む製品に対しては、現行法において製造、使用、販売、輸入に対して一定の制限が課せられていますが、更に強化された措置が図られます。

更に、カナダ環境省とカナダ保健省が2019年に発表したスクリーニング評価レポートに基づき、これまで規制のされていなかったデクロランプラス(DP)とデカブロモジフェニルエタン(DBDPE)については、1999年カナダ環境保護法Schedule1有毒物質リストへの収載を提案中です。 そのため、これら2物質およびそれらを含む製品の製造、使用、販売、輸入を禁止され可能性があります。 ただし所定の条件下で最大3年間、これらの製造、使用等の活動が許可される場合があります。


補足ですが今まで使用されていた用語である「販売の申し出」が廃止されます。


また現行施行されている特定有害物質禁止規則において複雑化していた条文やScheduleの構成を見直し、簡素化がなされました。


1) 1999年カナダ環境保護法


2) 2012 年カナダ特定有害物質禁止規制


3) カナダ官報、パートI、第156巻、第20号:特定有毒物質禁止規制、2022年


閲覧数:4,477回

最新記事

すべて表示

Q643.EU RoHS指令におけるPack27とPack22について

2024年04月12日更新 【質問】 EU RoHS指令でPack27のパブコメが行なわれました。 Pack22と重複しているようですが、Pack22は廃案になるのでしょうか。 ご教示ください。 【回答】 Pack27にはPack22の内容も一部重複していますが、Pack22の内容が全て破棄されるわけではありません。 RoHS(Ⅱ)指令1)において適用除外用途については、それぞれ有効期限が決められ

Q642.台湾電池規制に関する認可番号の取得について

【質問】 乾電池、ボタン電池を内蔵した産業用機械を台湾に輸入しようとしています。この電池が規制対象の電池の場合、この電池についてカドミウム、水銀の含有が無いデータを添えて、台湾当局に申請をして認可番号を取得する必要があるでしょうか? 【回答】 台湾では、「乾電池の製造、輸入、販売の制限」公告により1)、対象となる電池は、ご質問のように装置に組み込んで同梱する場合も含めて、指定分析機関での水銀及びカ

Q642.フランスのポリスチレン包装材の禁止法

2023年12月01日更新 【質問】 ポリスチレン包装材がフランスで禁止されると聞きました。 発泡スチロール容器も対象でしょうか。 【回答】 フランスの発泡スチロール容器の使用規制は「リサイクルできない」という条件があります。 貴社の販売方法などのビジネスモデルにより規制対象の該否が分かれます。 以下、規制内容をご紹介します。 §1 ポリスチレン包装材の規制 フランスのポリスチレン包装材は、環境コ

Comentarios


bottom of page