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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

Q708.中鎖塩素化パラフィンの規制に関する最新動向について

  • 執筆者の写真: tkk-lab
    tkk-lab
  • 1月10日
  • 読了時間: 3分

更新日:2月11日

2025年01月10日更新

【質問】

POPs条約で検討されている中鎖塩素化パラフィンの規制について、現状適用除外は検討されているのでしょうか。最新の動向を教えてください。

_________________________________________


【回答】

中鎖塩素化パラフィン(Medium-chain chlorinated paraffins以下、MCCP)の規制について、2024年9月に開催された第20回残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC20)にて、適用除外の用途の一部見直しとMCCPの定義を定め、来年のPOP12に勧告することが決定しました1)2)。

2023年10月に開催された第19回残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC19)では、MCCPを附属書A(廃絶)に追加することと、一部の用途での適用除外を認める勧告が決定されました3)4)。

この決定を踏まえて、今回のPOPRC20にて一部追加修正を加えて締約国会議に以下の勧告を行うことが決定しました1)2)。


(1)MCCPの化学的構造:炭素鎖長がC14-17で塩素含有量が45wt%以上の塩素化パラフィンで次の分子式を持つクロロアルカン

C14H(30−y)Cl y(y ≥ 5);

C15H(32−y)Cl y(y ≥ 5);

C16H(34−y)Cl y(y ≥ 6);

C17H(36−y)Cl y(y ≥ 6)


(2)適用除外対象と期間

(a)以下の対象について、改正の発効日から5年間適用除外とする

(i) ポリ塩化ビニル(PVC)における次の用途に限定して使用する:

a. 建設分野のワイヤーおよびケーブル

b. 食品包装を除く包装分野のカレンダー成形されたフィルム

c. ゴムおよびプラスチックの絶縁材

d. 炭鉱で使用されるコンベヤーベルト

(ii) 接着剤およびシーリング剤における次の用途に限定して使用する:

a. ドアや窓のシーリングに使用される一液性ポリウレタンフォーム

b. 防水コーティングおよび防食コーティング

c. 航空宇宙及び防衛用途(ポリウレタン接着剤など)

(iii) 航空宇宙及び防衛製品の非構造接合に使用されるテープ


(b)以下の用途および分野で使用される金属加工液への添加剤等に使用の場合、回収システムを備えた作業環境等での使用に限定し、2036年まで適用除外とする:

(i) 航空宇宙

(ii) 防衛

(iii) 自動車

(iv) 医療機器、体外診断機器、製造、制御、検査用などの電気電子機器(EEE)

(v) 農業および建設に使用される機械および工具の製造

(vi) エネルギーおよび発電

(vii) 石油およびガスの抽出

(viii) 化学製品の製造および精製

(ix) 原子力施設

(x) 低炭素および再生可能エネルギー技術

(xi) 非EEE医療機器

(c)従来から使用されている交換部品に使用されるポリマーおよびゴムを以下の用途に使用することにおいて、 製品の使用寿命の終了または2041年のいずれか早い方まで適用除外とする。

(i) 自動車部品の製造

(ii) 医療機器、体外診断機器、測定、分析、製造、制御、監視、試験および検査用の電気電子機器(EEE)

(iii) 航空宇宙および防衛製品

適用除外の対象については、POPRC19で決定された内容から大きくは変更されていませんが、(a)(i)d項や(c)項が新規に追加されています。また、(a)(i)c項において「食品包装を除く」との規定が追加されています。

今回のPOPRC20での決定は、2025年4~5月に開催が予定されている次回ストックホルム条約第12回締約国会議(COP12)に勧告されることになります。



1) POPRC20での決定(UNEP/POPS/POPRC.20/10)


2) POPRC20の結果解説


3) POPRC19での決定


4) POPRC19の結果解説



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