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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q605.アメリカのPFAS規制とPFOA規制の相違点について

2021年07月30日更新

【質問】

アメリカでPFAS規制が強化されると聞いています。 PFOA規制との違いを教えてください。

 

【回答】 1.PFOA規制について

PFOA(ペンフルオロオクタタン酸)は有機フッ素化合物で親水性と親油性の両方の性質を持っており撥水剤や、撥油剤に使用され、身近な用途では、衣類の撥水剤です。 残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(以下POPs条約)により、廃絶すべき物質に指定され、締結各国において国内法により担保することが求められています。 この条約は181か国及びEU,パレスチナ自治区で締結されています。 そのため、EUでは、REACH規制、日本では化審法で規制されています。


ただし、米国は同条約に署名はしているものの、批准してはいないのですが、環境保護庁(以下EPA)において「有害物質規制法(Toxic Substances Control Act: TSCA)の重要新規利用規則(以下SNUR)」で規制をかけています。

SNURは、TSCAインベントリーの収載物質に対して「重要新規利用」と指定した利用を開始する90日前までにEPAへ届け出ることを要求することによって、その利用を制限する規則です。

SNURに該当する化学物質を製造、輸入または加工しようとする者は、その化学物質ごとに制定された要件を遵守する必要があります。 その要件を遵守できない場合は製造等を開始する90 日前までに、「重要新規利用届出」(SNUN)をEPAへ届け出る必要があります。


米国ではPFOAスチュワードシッププログラム(2006~2015年においてPFOAを主要メーカー8社の参加によりPFOAの排出および含有製品の排除に取り組んだプログラム)を含む段階的な廃止の結果、米国ではもはや製造されていませんが、EPAは、PFOAを含む特定のPFASの製品の広範なリストをレビューする権限をEPAに与え、SNURに指定しました。

現時点では、2020年7月に公表された、(*1)

PFCAおよびPFSAを含む化学品を製造(輸入を含む)、または加工する者はその90日前までに届出を行い、これに対しEPAはリスク評価を行い、必要に応じて制限等の措置をとるというSNURが有効となっています。

なお、カリフォルニア州法のProposition65のリストにも記載されています。


2.PFAS規制について

PFASはパーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物のことで、約4,500種類の合成化学物質の総称となります。 このPFASは耐火性、耐水性、耐脂性という物理的性質に優れ、水溶性泡消火剤、電子製品の表面コーテイング、潤滑剤等の多くの製品に使用されています。

しかし、2000年代初頭において、EPAは、特定のPFASの含有化学品は、「残留性が高く、生体内に蓄積されやすい性質があり、毒性がある」と分類しました。

米国国内においては、環境団体が軍事施設から、PFAS等の化学物質が流出し飲料水を汚染している事例を多数報告するなど、社会的関心が高まっています。

そのため、EPAにおいて次のような動きがあります。

2019年2月にEPAが最初にPFASについての行動計画を公表し(*2)、2020年2月に更新 (*3)されました。この行動計画の目的は、PFASへのばく露経路の特定と低減、有害性の科学的知見の推進、これらリスクに関する情報の公衆への伝達等を目指しました。

これを受けて2021年6月10日にEPAが、PAFSの製造メーカーからデータを収集し、PFASによって引き起こされる潜在リスクを把握し、最終的にリスクの軽減を図るために、PFAS類の報告の義務付け等を含む規制強化への取組みを発表しました。

2021年6月23日に、PFAS類の報告および記録保管要件に関する規則案「TSCA第8条(a)(7)パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質の報告および記録要件」を公表しました。

これは、2020年度の国防権限法2019(NATIONAL DEFENSE AUTHORIZATION ACT FOR FISCAL YEAR 2019 :NDAA2019)(*4)に基づく法定要件で2011年以降PFASを製造したすべてのメーカー(輸入業者を含む)に対し、以下を義務付けるものです。(*5))


・化学物質の名称

・化学物質を特定する情報(CAS RN等)

・使用カテゴリー

・製造及び処理量

・副産物、環境及び健康影響

・労働者へのばく露

・廃棄処理に関する情報等の報告を行うこと

・報告した情報は5年間保存する

・CDR規則では報告が免除されている小規模企業や副産物に対しても報告


3.PFASとPFOAの規制の相違のポイント

(1)PFOA規制は、POPs条約の目的である、残留性有機汚染物質から人の健康と環境を保護するために、PFOAの製造や使用を制限するものです。

(2)PFAS規制は、対象物質の管理を目的とするものであり、今までのべた情報報告を義務づけることで、PFASに関する正確な状況を把握し今度の研究やPFAS行動計画を推進していくものです。


注:CDR規則

TSCAインベントリーにリストされている化学物質の製造者・輸入者は,化学物質の製造,加工,および使用に関するデータを4年ごとに報告する。






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