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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

Q620.中国に監視機器を輸出する際のCGPマーク添付について

執筆者の写真: tkk-labtkk-lab

2022年06年24日

【質問】

中国に工場の生産設備のオプションの監視機器を輸出します。CGPマークを添付する必要があるのでしょうか。

 

【回答】 工場生産設備の一部分になる監視機器には、中国のCGPマークを貼付する必要はありません。

ただし、電器電子製品に該当するので、2016年1月改正版の中国版RoHS(Ⅱ)管理規則の規制を受けます。

以下、その判断手順について詳しく説明します。


1.CGPマーク

CGPマークの正式名は「绿色产品标识」(China Green Products:中国グリーン製品ラベル)です。 2019年に中国政府は新たなグリーン調達制度を施行するために「绿色产品标识使用管理办法」1) を定めました。

次項で説明する電器電子製品の他にも、「绿色产品与标识认证信息平台」2) に整理されている建築資材などの指定品目において、省エネ、環境保護の観点からの国家規準が定められています。 この基準を満たしているという認証を得た製品に、白地に緑色でCGPのアルファベットをあしらったCGPマークを貼付します。


2.中国版RoHS(Ⅱ)管理規則の対象

中国での電器電子製品の有害化学物質規制は、2016年に制定された「电器电子产品有害物质限制使用管理办法」3) です。 EUのRoHS(Ⅱ)指令とよく似た内容なので、中国版RoHS(Ⅱ)管理規則と呼ばれています。


同法第3条で、電器電子製品が「定格直流1500ボルト以下交流1000ボルト以下のもので発電・送電・配電に関与する機器を除く」と定義されています。 更に、同法FAQ 4) のQ11で、軍事目的・特殊で極端な環境・輸出用(輸出先国の規制に従う必要がある)・一時的な輸入・科学的研究開発・試験・展示の目的の電器電子機器が除外されています。


この電器電子製品を中国に輸入するためには、中国版RoHS(Ⅱ)管理規則の対応が中国の輸入者に求められています。 同法第12条には、その包材が法令や基準に違反せず、無害で分解しやすく回収しやすいものを採用する必要が定められています。そのため包材リサイクルマークを付けることが必要になります。 第13条には有害物質の名称、含有量、リサイクルや環境・人の健康への影響等に関する情報を表示することが定められています。 そのため、製品もしくは説明書に有害物質名称と含有量表示をすることが必要になります。 第14条には有害物質使用制限の規準に従って環境保全使用期限を表示することが定められています。 そのため、有害物質が基準値以下の場合は緑色のリサイクル表示、基準値を超える場合は環境保全使用期限年数の数字をオレンジ色のリサイクル表示をすることが必要になります。

規制対象物質は、

1.鉛とその化合物(基準値0.1重量%)

2.水銀とその化合物(基準値0.1重量%)

3.カドミウムとその化合物(基準値0.01重量%)

4.六価クロム(基準値0.1重量%)

5.ポリ臭化ビフェニル(PBB)(基準値0.1重量%)

6.ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)(基準値0.1重量%)

7.国が規定する他の有害物質(現時点での指定物質はありません)

です。 EUのRoHS(Ⅱ)指令では規制物質が基準値を超過するものを上市できませんが、中国では次項の順法管理目録以外の品目なら有害物質名称と含有量表示などをして上市できます。


3.中国版RoHS(Ⅱ)管理規則の第2段階規制(順法管理目録)の対象

2016年の中国版RoHS(Ⅱ)管理規則改正で、第2段階規制として第17条に「达标管理目录」(以下、「順法管理目録」)による管理をすることが追加されました。 この順法管理目録に掲載された品目の電器電子機器は、原則として基準値を超えた有害物質の含有が認められず、EUと同様に上市できなくなります。 基準値を超える有害物質の含有がないことを確認してCGPマークを貼付する必要があります。

2018年3月に次の第1次目録(12品目)が順法管理目録 5) が告示され、2019年11月から施行されています。

1.冷蔵庫 (ボックス型 内容積800リットル以下)

2.エアコン (定格冷却能力14000ワット以下))

3.洗濯機 (洗濯量10kg以下で乾燥機能を含む)

4.電気温水器 (容量500リットル以下)

5.プリンター (印刷領域≤A3、印刷速度≤60枚/分)

6.コピー機 (印刷領域≤A3、印刷速度≤60枚/分)

7.FAX機 (FAX・印刷・スキャン・コピーの2つ以上の機能を備えた多機能マシンを含む)

8.テレビ (チューナーがないテレビ用ディスプレイを含む)

9.モニター (LCDやCRTを含む)

10.マイクロコンピュータ (ディスクトップ、ハンドヘルド、タブレット等)

11.モバイル通信・携帯電話 (GSM/ GPRS、CDMA、CDMA1X等規格)

12. 固定電話 (IP電話を含む)

だだし、移行措置として、適用除外リスト 5) も公表されています。 57項目もある詳細なリストなので、個別に確認をする必要があります。

今回のご質問の回答としては、ご質問の機器が順法管理目録の品目に該当しないため、CGPマークを貼付する必要はありません。


4.参考資料

1)中国 绿色产品标识使用管理办法

2)中国 绿色产品与标识认证信息平台

3)中国 电器电子产品有害物质限制使用管理办法

4)中国 实施《电器电子产品有害物质限制使用管理办法》的常见问题答疑

5)中国 RoHSⅡ順法管理目録 第1次リストと適用除外リスト

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