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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q601.RoHS(I)指令対応済の輸出品を日本で改造して、再輸出した場合のCEマーキング対応について

2021年08月27日更新

【質問】

RoHS(I)指令の時期にEUの顧客に輸出した製品について、改造依頼がきました。 納品時にはCEマーキングの対応が必要でしょうか。

 

【回答】

機能更新・機能アップに繋がる改造は、上市済の製品と同じものとはならない可能性があり注意が必要です。 基本的な考え方として、RoHS指令 第7条(e)に「製造者は、連続生産に関しても、引き続き適合性を確保するため、生産の手続きが実施されることを確実にする。製品設計又は特性の変更およびEEE(正しく作動するために電流または電磁界に依存する機器であって、さらに交流1,000V、直流1,500Vを超えない定格電圧で使用するよう設計され、そのような電流と電磁界を発生、伝導、測定するための機器電気・電子機器)の適合性が宣言されている整合規格又は技術仕様の変更については十分に考慮されなければならない。」とされており、上市した製品と同等の機能・性能の維持・継続性が求められています。


CEマーキングのガイドブックであるブルーガイド(The ‘Blue Guide’ on the implementation of EU products rules 2016:EU製品規則の実施に関する「ブルーガイド」2016)の2.1項PRODUCT COVERAGE(カバーされる製品)の冒頭の枠内要約記述のひとつに「オリジナルの性能改造、目的または形式の改造を目的とした重要な変更またはオーバーホールの対象となった製品は、新製品とみなされる。変更を実施した者は、相応の義務を負う製造者とみなされることになる」と記載されています。


更に同項では、「法律の目的や製品の型式によって個々に評価されなければならない」が、「特にリスクアセスメントで、危険の質やリスクのレベルが増したと評価された場合は、新しい製品とみなし、CEマーキングの貼付、技術文書の準備、EU適合宣言書の作成、などが求められる」としています。


また、RoHS指令第4条第1項で「加盟国は、修理、再使用、機能または能力更新のためのケーブルおよび予備部品を含み、上市されるEEEは附属書IIのリスト物質を含有していないことを保証しなければならない」と定められています。


なお、修理については、ブルーガイドの2.1項で「元の性能、目的または形式を変更することなく修理または交換された製品は、新製品とみなされない」としています。


改造(又は修理)はオリジナルの製品の機能・性能に与える影響度合いの確認が必要になりますが、この基準は企業に委ねられています。


ご質問のケースは、顧客からの顧客保有のEEEの改造依頼で、依頼を受けた企業(貴社)の立場は微妙です。企業の社会的責任的な考え方で、以下のような対応が考えられます。


改造後も法的要求事項や顧客の要望(含む潜在要望)への適合性を評価しなくてはなりません。この適合宣言の基本は自己宣言の規格のISO/IEC17050-1/2です。


ISO17050-1:2004 10項(適合宣言の継続的妥当性)の10.2項で「適合宣言の妥当性を再評価するための適切な手順をもたなければならない」とし、「a。製品の設計または仕様に著しく影響を与える変更」などを規定しています。


この規格はブルーガイドでも同じことを記述されているものですが、以下の対応をすることになります。


1.改造手順を明確にする

文書化し、レビューを受けておくことが望まれます。

内容としては、工事の大きさにより詳細化のレベルが変りますが、次の項目などを盛り込みます

改造計画(書)の策定

状況により顧客の承認を得る

改造計画のレビュー(デザインレビュー DR)

作業計画・サプライヤ計画・改造要領(書)など


2.本来は

オリジナル製品のDRで確認済の改造範囲であることが基本条件です。


3.改造後の検査

改造計画(書)による

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