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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q618.制限物質に特定される物質ついて

2022年03月12日更新

【質問】

REACH規則の制限物質(Annex17)に特定される物質も、認可物質(Annex14)と同様に基本的にはCLS物質から選ばれると考えて問題ありませんでしょうか。

 

【回答】

REACH規則の認可・制限対象物質は、人や環境に極めて影響が大きいと懸念される物質の中から選定されます。

認可物質は、登録データからリスクが懸念される物質がCoRAP(Community Rolling Action Plan)で優先順位付けされて加盟国により評価され、CLS(Candidate List of Substances)に掲載、Annex14に収載されます。認可物質は、原則製造・上市・使用が禁止で、用途毎に認可が必要です。

一方、制限物質は、76/769/EECがREACHのAnnex17 1)に引き継がれ、不当なリスクを当局(ECHA/加盟国)が発見することからスタートしました。 事故が起きると規制のイメージです。制限物質は、使用方法や用途により人や環境に容認できないリスクがあるため、製造・上市・使用に制限(条件付き許可、特定用途、禁止等)がかけられていますが制限内での使用は認められています。

認可物質は、REACH規則第57条に規定されたヒトや環境に深刻な影響をもたらす恐れがある候補物質(高懸念物質)(SVHC: Substance of Very High Concern)としてCLSに掲載されたものからAnnex14に収載されます。 一方、制限物質は、ヒトや環境にリスクをもたらす恐れがあるが十分な管理がされていないと見なされる物質が対象であり、認可物質とは別のプロセスで新たな物質の登録・収載(Annex17)が行われます。 このプロセスはREACH規則第68条から73条に規定されていますが、主な流れを以下に説明します。


【制限物質の登録・収載プロセス】

(1)制限提案の意向提示

制限が必要と考えられる場合、ECHA(欧州化学物質庁)又はEU加盟国から制限提案の意向が提示されます。

(2)提案書の提出・公表・意見募集

意向が示された後、決められた期間内にECHA又は加盟国は、制限提案文書を作成し、提出・公表します。 公表された提案文書に対しての意見募集(Public Comment)が行われます。

(3)専門委員会での検討・意見書の提示

寄せられた意見を踏まえて、ECHAのリスク評価専門委員会、社会経済分析専門委員会は、制限提案に対しての意見案を作成し、これに対する意見募集を行います。 意見募集結果を踏まえて両専門委員会は、欧州委員会に意見書を提出します。

(4)欧州委員会の決定

ECHA、リスク評価専門委員会および社会経済分析専門委員会から提出された意見書を踏まえて、欧州委員会はAnnex17への新たな物質の登録・収載の法案を作成し加盟国に送付し、加盟国の投票により決定します。


【登録・収載が検討されている物質】

2022年2月現在、Annex17には76エントリーまで収載されていますが、上記に述べたプロセスで新たな物質の登録・収載が検討されています。 検討されている物質のリスト(制限提案リスト:Registry of restriction intention 2) ) は、ECHAのホームページに掲載されています。 

リストには、物質名や制限条件の他に、物質毎に検討の進捗状況(Status)も記載されています。 前述の(1)の段階ではStatusは「Intention」、(2)では「Opinion development」、(3)では「Commission decided」、(4)では「Opinions adopted」となります。

Annex17への新たな物質の登録・収載の動向を確認する際には、上記の制限提案リストを参考にしてください。


1)制限物質(Annex17)


2)制限提案リスト(Registry of restriction intention)

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