Q719.PIP(3:1)におけるワイヤーハーネス・回路基板の適用除外の範囲ついて
- tkk-lab

- 6月20日
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2025年06月20日更新
【質問】
TSCAの規制物質であるPIP(3:1)の改正内容で「ワイヤーハーネス・回路基板を新たに除外」とありますが,これらに使用するためのコネクタや端子等もそれぞれ部品単独で除外されるのでしょうか。
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【回答】
米国TSCAでのPIP(3:1)規制に関して、2025年1月21日に発効した「TSCAにおけるDecaBDEおよびPIP(3:1)規制改訂版(Decabromodiphenyl Ether and Phenol, Isopropylated Phosphate (3:1); Revision to the Regulation of Persistent, Bioaccumulative, and Toxic Chemicals Under the Toxic Substances Control Act (TSCA))」により一部改訂されて、混合物及び成形品の非意図的濃度限界値の設定や、適用除外用途の追加変更と除外期限が見直されました1)2)。
ご質問のワイヤーハーネスおよび回路基板は、今回の改訂により§751.407(b)(1)(iii)に以下の商業的な加工及び流通は適用除外用途として以下の3点が新たに追加されました3)。
*回路基板およびワイヤーハーネスに使用するためのPIP(3:1)
*回路基板およびワイヤーハーネスに使用するためのPIP(3:1)を含有する製品(端子およびヒューズカバー、ケーブルスリーブ、ケーシング、コネクタ、テープを含むがこれらに限定されない)
*PIP(3:1)を含有する回路基板およびワイヤーハーネス(端子およびヒューズカバー、ケーブルスリーブ、ケーシング、コネクタ、テープを含むがこれらに限定されない)
TSCAの条文では、ワイヤーハーネスまたは電気回路基板の定義を規定していません。
但し、改訂規則案のD. 1. a. iv.で、「ワイヤーハーネス」には、防衛から航空宇宙、自動車用途などさまざまな用途で使用される端子およびヒューズカバー、ケーブルスリーブ、ケーシング、コネクタ、テープ等幅広い種類の物品が含まれるとしています4)。
また、「回路基板への使用」には、回路基板への添加に加え、回路基板に追加される電子部品の封止材として、またオーバーモールディング、ディップ成形、インサート成形、またはコンフォーマルコーティングにおける樹脂での使用も含まれるとしています。
なお、回路基板での部品について、最終規則のIII. D. 1. d.で、電気を直接接触・伝導・蓄電する部品とそうでない部品を区別するとしています5)。電子部品を固定・覆う・絶縁するために使用される部品は、PIP(3:1)の難燃性を必要としないため、除外範囲に含むように拡大していません。これらの部品は、適用除外の対象、または段階的使用禁止に該当する場合を除き、2024年10月の加工期限および2026年10月のPIP(3:1)含有成形品の商業的流通期限の対象となる可能性があります6) 7)。
従って、ご質問のワイヤーハーネス・回路基板に使用する部品は適用除外とされていますが、回路基板でPIP(3:1)の難燃性を必要としない部品によっては適用除外に該当しない場合がありますので、注意が必要です。
1) TSCAにおけるDecaBDEおよびPIP(3:1)規制改訂
2) 米国TSCAのDecaBDE、PIP(3:1)規制改定について
3) -ワイヤーハーネスおよび回路基板の除外§751.751.407(b)(1)(iii)
4) TSCAにおけるDecaBDEおよびPIP(3:1)規制改訂案(2023/11/24)D. 1. a. iv.
5) TSCAにおけるDecaBDEおよびPIP(3:1)規制最終規則(2024/11/19)III. D. 1. d.
6) PIP(3:1)の適用除外(40 CFR 751.407(b))
7) PIP(3:1)の段階的使用禁止(40 CFR 751.407(a)(2))

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