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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

執筆者の写真tkk-lab

Q595.化審法のPFOAに対する規制について

2021年04月23日更新

【質問】

日本の化審法のPFOA規制は何時からでしょうか。非意図的の残留濃度は25ppbでよいのでしょうか。

 

【回答】

ご質問のペルフルオロオクタン酸(PFOA)に対する規制は、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)第9回締約国会議(COP9)にて決定されたペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及び PFOA 関連物質を同条約の附属書A(廃絶)への追加に伴う措置となります。

経済産業省、厚生労働省、環境省からなる3省合同会合は、POPs条約を反映する日本国内の措置として、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」による第一種特定化学物質への指定が適当と判断し、必要な措置をとりまとめています(1) 。 第一種特定化学物質への指定された場合、主な規制の内容は以下となります。


(i)製造及び輸入の許可制(事実上禁止)(化審法第17条、第22条)

(ii)特定の用途(エッセンシャルユース)以外での使用の禁止(化審法第25条)

(iii)政令で指定した製品の輸入禁止(化審法第24条)

(iv)必要な場合の事業者に対する回収命令(化審法第34条)

(v) 技術上の基準適合義務(化審法28条)


現在は上記のうち(ii),(iii)について「化学物質審議会安全部会」などで検討されている状況です。


◆PFOA規制のスケジュール

PFOA規制のスケジュールはエッセンシャルユースの指定等について追加の検討で再変更されており、現時点における情報は以下となっています(2)。

なお、PFOA とその塩の第一種特定化学物質への指定、輸入禁止製品等に係る措置に関する政令は4月16日に閣議決定がされました(3)。

 

<ジコホル、PFOA とその塩の第一種特定化学物質への指定、輸入禁止製品等に係る措置>

令和2年11月以降 TBT 通報、化審法施行令の一部を改正する政令案に

関するパブリックコメント

令和3年4月21日 公布(予定)

令和3年10月22日 施行


PFOA 関連物質については、POPRC15(残留性有機汚染物質検討委員会第15回会合)にてペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩およびPFHxS関連物質を廃絶対象物質(附属書A)への追加を締約国会議に勧告することが決定されています。 また、POPRC16にてPFOAとその塩およびPFOA関連物質の例示リストの改定について、締約国から意見募集することが決定されています。 POPRC15、POPRC16の決定を踏まえた第10回締約国会議(COP10)は令和3年7月にジュネープで開催されます。PFOA 関連物質に関する日本国内の措置は、COP10の内容を受けて検討していくものと考えられます。


<PFOA 関連物質の第一種特定化学物質への指定、エッセンシャルユースの指定、輸入禁止製品等 に係る措置>

令和3年6月以降 TBT 通報、化審法施行令の一部を改正する政令案に

関するパブリックコメント

令和3年9月以降 公布

令和4年3月以降 施行


上記のスケジュールについては、不確定要素を含み前後する可能性ありとの記載もあるため、貴社においては今後も公開される情報に注視しておく必要があるといえます。


◆非意図的な残留について

化審法において非意図的な副生成物について残留濃度などによる一律な制限は設定されていません。 ただし、BAT(利用可能な最良の技術)の原則により、その含有割合が工業技術的・経済的に可能なレベルにまで低減していると認められるときは、当該副生成物を第一種特定化学物質として取り扱わないとする規定があります。


BATの原則は副生される第一種特定化学物質の低減方策と自主的に管理する上限値を設定し、厚生労働省、経済産業省、環境省に対して事前確認を受けた上で報告し、副生される第一種特定化学物質が上限値以下で管理されている場合に適用されます(4)。


一方で、EU域内で適用されるEU POPs規則の場合、非意図的に含有するPFOAは制限物質として、濃度基準が25ppbとなります(5)。貴社が海外と取引がある場合、日本国内で問題ないとして使用できるBATの原則に基づいた原材料が海外では規制をうける原材料となることがあるため、注意が必要です。


貴社においてはPFOA規制に関して経済産業省や厚生労働省、環境省から公開される最新の情報を確認し、BATの原則の適用などについて判断していくことをお勧めします。


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