当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q611.ストックホルム条約規制候補物質であるUV-328の含有調査方法について

2021年10月29日更新

【質問】

お客様より「ストックホルム条約規制候補物質,UV-328の含有調査依頼」を受けております。 調査方法をご教授頂けませんでしょうか。

 

【回答】

本稿執筆時点で、紫外線吸収剤のUV-328は、ストックホルム条約(POPs条約)で規制するかどうかの審議中でなので、まだ規制や基準値などが定められていません。 しかし、EUのREACH規則では、UV-328を含む4種類の紫外線吸収剤が高懸念物質(SVHC)の候補リストにあるため、製品中に0.1%以上含有する場合などに規制があります。 更に2023年11月27日以降はREACH規則附属書XIVの認可対象物質(認可がなければ使用できない物質)として原則使用禁止になります。


UV-328の含有調査ではまず、自社製品の製造工程でUV-328を使用していないかを確認します。 次に、使用している原材料について、その製造メーカーにUV-328の含有調査を依頼して情報を入手します。 最後に、自社製品中のUV-328含有濃度を測定して、不検出または0.1%未満の検査証明書を入手します。以上の結果を調査報告書にまとめます。 UV-328の使用や含有があるときには、調査報告書に明記する必要があります。


ストックホルム条約*1)*2)*3) は、ポリ塩化ビフェニル (PCB) やDDTのような (1) 毒性、(2) 難分解性 、(3) 生物蓄積性および (4) 長距離移動性を有する化学物質である残留性有機汚染物質 (POPs) からの人の健康および環境保護を目的としているため、POPs条約と呼ばれています。 この条約は、2001年5月にストックホルムで採択され、2004年5月17日に発効しました。日本は2002年8月に加入し、現在の締約国は180を超えています。


POPs条約の改定を検討するために、残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)が毎年秋に開催され、(1) 物質選定スクリーニング、(2) 危険性に関する詳細検討、(3) リスク管理に関する評価の3段階プロセスで評価を行ないます。 その結果によって、隔年春に開催される締約国会議(COP)で条約改正を決定します。 国際的なコロナ禍のために、第10回締結国会議(COP10)がオンライン開催(第1部:2021年7月)と実会議(第2部:2022年6月予定)という変則的な運用になっています。


2021年1月に開催された第16回残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC16)で、紫外線吸収剤のUV-328(2-(2H-benzotriazol-2-yl)-4,6-bis(1,1-dimethylpropyl) Phenol, CAS No.[25973-55-1])をPOPs条約の附属書A(廃絶するPOPsのリスト)に加えるというスイスからの提案がありました。 提案国から提出された提案書について、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を審議した結果、UV-328がスクリーニング基準を満たすとの結論に達し、2022年1月に開催予定のPOPRC17に向けてリスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されました*4) 。 日本国内でも、経済産業省が中心になって業界団体等に情報提供を求めています。


一方、EUでは4種類のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤について、2014年12月にUV-320とUV-328を、2015年12月にUV-327とUV-350をREACH規則の高懸念物質(SVHC)の候補リスト*5)に追加しています。


(1) UV-320:Cas No.[3846-71-7]

2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)

(2) UV-327:Cas No.[:3864-99-1]

2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)フェノール

(3) UV-328:Cas No.[25973-55-1]

2-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール

(4) UV-350:Cas No.[36437-37-3]

2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-sec-ブチル-4-tert-ブチルフェノール


REACH規則では、高懸念物質(SVHC)の候補リストにある化学物質が製品に0.1%以上含有している場合、または1企業につき年間1トン以上含む製品は、製品に物質名と安全性に関する情報を表示して、製品を欧州化学品庁(ECHA)に通知しなければなりません。


その後2020年2月6日に、REACH規則附属書XIVの認可対象物質リスト*6) に追加されたので、2023年11月27日以降はEUで原則使用禁止になります。


*1)ストックホルム条約(POPs条約) http://www.pops.int/


*2)経済産業省「POPs条約」

https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/pops.html


*3)外務省「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/treaty/treaty_020408.html

条約の条文と解説書が掲載されています。

*4)経済産業省・環境省 News Release 2021年1月22日「ストックホルム条約残留性有機汚染物質検討委員会第16回会合(POPRC16)が開催されました」

https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/int/poprc16.pdf


*5)EU REACH規則 高懸念物質(SVHC)の候補リスト

https://echa.europa.eu/candidate-list-table


*6)EU  REACH規則附属書XIVの認可対象物質リスト

https://echa.europa.eu/authorisation-list

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