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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q625.接着剤に関するREACH規則の情報伝達義務について

【質問】

仕様の異なる3部品を接着剤で接合し、さらに樹脂でモールド加工しています。 接着剤にはCLSのなかの1物質が数%含有しています。 このような場合、REACH規則の情報伝達義務は発生するのでしょうか。

 

【回答】

成形品中にCLSが0.1wt%を超えて含まれる場合には、REACH規則33条により以下の情報伝達義務が生じます。

(1)川下事業者へ、最低限当該物質名を含み当該成形品を安全に使用するのに十分な情報を提供する。

(2)消費者から要求があれば、最低限当該物質名を含み当該成形品を安全に使用するのに十分な情報を、消費者に要求を受けた日から45日以内に無償で提供する。


REACH規則において、成形品は、製造中に化学的組成よりも大きくその機能を決定する特別な形状、表面、またはデザインが与えられた製品と定義されています。 成形品中のCLSの濃度は、この定義に従った成形品ごとに算出します。 従って、情報伝達義務の判断は0.1wt%の分母となる成形品の解釈が重要となります。


この成形品の解釈およびそのCLSの濃度の算出方法については、ECHAから発行されている「REACH規則における成形品中の物質に関する要求事項に関する手引書」(以下「手引書」)の3.2.3.1項に、単一な製品から複数の部品を組み合わせて加工した複合製品(Complex Object)も含め解説があります 1)。

 

例えば、CLSを含有する接着剤で2つの部品を接着した接合部品では、この接合部品を成形品として解釈します。 この場合、(部品+接着剤)の合計が成形品の質量となり、これを分母として接着剤中のCLSの質量からCLSの濃度を算出します。


さらに、上記接合部品をコーティング加工した製品の場合には、コーティング加工した製品全体を成形品として解釈します。 (部品+接着剤+コーティング剤)全体の合計が成形品の質量となります。 コーティング剤にCLSが含まれる場合には、このコーティング剤中のCLSの質量とコーティング加工した製品の質量から濃度を算出します。


実際には、ソファや自転車など、多くの部品を組み立て・加工した複雑な製品からなっています。 この場合も、成形品の定義に基づき製造工程に沿って分割したより単純な成形品や複合製品の単位で解釈します。 上記の例と同じ様に、構成する成形品単位ごとにCLSの濃度計算を行うとしています。


以上の手順でCLSの濃度の算出結果が0.1wt%を超える場合には、情報伝達義務が生じます。 「手引書」の3.4.1項に、その伝えるべき内容が解説されています。


例えば、上記接着剤で組み合わせた接合部品をコーティング加工した製品では、構成する各部品、および接着剤で組み合わせた接合部品、さらにコーティング加工した製品でのCLSの濃度が0.1wt%を超える場合には、0.1wt%を超えたそれぞれのCLSの情報を伝達するとしています。


また、廃棄物枠組み指令により、EU域内で0.1wt%以上CLSを含有する製品(成形品)を上市する事業者に対して、SCIP登録の義務が定められています2)。 EU域内の輸出先に対しSCIP届出に必要な情報の提供を行うことが必要となります。


ご質問の製品では、製造工程の流れに沿って、3つの部品、これらを接着剤で接合した接合部品、さらにモールド加工した複合製品の構成になっています。 上記の例の様に、各単位でのCLSの濃度を算定します。 この濃度が0.1wt%を超える場合には、このCLSに関する情報伝達義務が発生します。


ご質問の製品は、接着剤のみに1つのCLSを含有していますので、接着剤で3つの部品を接着した接合部品でのCLSの濃度がポイントになります。 すなわち、モールド加工前の接合部品を分母として、接着剤に含まれるCLSの濃度が情報伝達の判断基準となります。 0.1wt%を超えている場合には、REACH規則の情報伝達義務およびSCIP登録が生じます。


Guidance on requirements for substances in articles


Waste Framework Directive

2)

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