当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q626.EU REACH規則の認可と制限の違いについて

2022年06月03日更新

【質問】

EU REACH規則の認可と制限の違いを教えてください。

 

【回答】

REACH規則の認可は、人や環境に与える影響が大きく、その有害性が高いため原則的に製造や使用を禁止 (物質の使用禁止)し、代替品や社会経済的便益など考慮した上で用途ごとに製造や使用を認めるものです。 一方、制限とは、人の健康と環境へのリスクがある物質の製造、上市および使用に関して制限(特定用途制限)をしていき、必要な場合は禁止(用途禁止)するものです。


【認可について】

使用や製造を認めてもらうために認可を受ける要件は、適切なリスクの管理と社会経済的便益の2つがあり、この要件に合えば所定の手続きを経て認可されます。要件は以下です。

(1) 適切なリスク管理の要件

物質の全てのライフサイクルを通して物質の放出、排出および損失などによって人の健康や環境への暴露が悪影響を及ぼす閾値未満に適切に管理できる場合。

(2) 社会経済的便益

安全レベルを決めることができない物質については、その物質の使用から人の健康または環境へのリスクを社会的経済的便益が上回っていて、かつ代替物質や代替技術がない場合。

認可申請(第62条)を行う場合は、欧州化学品庁(ECHA)に対して行い、人の健康や環境へのリスクを含む附属書Iによる化学物質安全評価(CSA)が要求されます。

また、認可は欧州員会にて個別の期限付きの見直し期間を含めて決定し、リスク管理の状況や社会経済的便益と代替物質の情報の更新によって、認可の見直し(修正や取り消し)(第61条)が行われます。

認可対象物質は、まず、第57条に記載ある要件のCMR物質(発がん性物質、特異原性物質、生殖毒性物質)等についてCoRAP(Community Rolling Action Plan)で優先付けがされ、CLS(Candidate List of Substances)を特定してECHAまたは各加盟国が付属書ⅩⅤの一式文書を作成します。 その後、意見募集や加盟国専門委員会への諮問等によって、ECHAが特定して、欧州委員会に追加の勧告を行い、審議して認可対象物質として附属書ⅩⅣ1)に収載されること(第58条)になります。

認可対象物質は2022年5月現在、59項目となっています。


【制限について】

制限物質は第67条によって附属書ⅩⅦ2)に規定されていて、使用条件に適応しなければ、製造、上市および使用ができません。2022年5月現在、附属書ⅩⅦには76エントリーまで収載されています。

制限物質は、欧州委員会が用途制限を提案し、ECHAに文書の作成が指示されます。 ECHAはリスク評価専門委員会と社会経済分析専門員会で確認を得てから、意見募集を行います。 その後、ECHAは両委員会の意見を欧州委員会に提出し、欧州委員会で決定され、附属書ⅩⅦに収載されます。

なお、28エントリーから30エントリーのCMR物質の制限は、対象物質リストがAppendix1~6にあります。


1) REACH規則 附属書XIV(認可対象物質のリスト)

https://echa.europa.eu/authorisation-list


2) REACH規則 附属書XⅦ(制限物質)

https://echa.europa.eu/substances-restricted-under-reach


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