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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

RoHS指令における「ランプ中の水銀」に関する適用除外用途の改正案

2021年07月09日更新

RoHS指令の適用除外用途については、多くの電気電子製品で活用されている合金中の鉛(6(a)、6(b)、6(c))やはんだや電気接点中の鉛(7(a)、7(c))等に関する2回目の有効期限が7月21日に迫っており、更新の可否に関する調査プロジェクト(パック22~24)で検討が行われているところであり、読者の皆様も注目されているものと思われます。 これらの適用除外用途は、1回目の有効期限が2016年7月21日であり、2015年から2016年にかけて調査プロジェクト(パック9)で検討が行われ、その後、正式に附属書IIIが改正され、2021年7月21日が2回目の有効期限として設定されたものです。


しかしながら、ランプ中の水銀に関する適用除外用途(1~4)は、パック9で検討されたにも関わらず、正式な決定がされず、有効期限が2016年7月21日のまま現時点でも有効となっています。

当初の有効期限からすでに5年が経過しようとしている2021年6月に、ついにこれらランプ中の水銀に関する適用除外用途を対象とした附属書IIIの改正案が公表されましたので、今回はこの概要を紹介します。


1.パック9での結論とその後の追加調査

パック9では、代替品の入手可能性等を踏まえて、適用除外用途の文言を細分化しつつ、1(f)や2(a)(1)などは最大となる5年間(2021年7月21日まで)の延長が、1(c)や1(d)、2(b)(3)などは3年間(2019年7月21日まで)の延長が、一方、1(a)や2(a)(2)などは18カ月の猶予期間を設定した上での廃止が適当である示されていました。


しかしながら、その後の欧州委員会での検討段階で、廃止が示された適用除外用途を中心に、照明器具の利害関係者から雇用機会の損失や新規照明器具の購入等による社会経済的な懸念が示され、改めてランプ中の水銀に関する附属書Ⅲの適用除外用途(1~4)の変更による社会経済的影響の詳細調査が実施され、2019年に報告書1)が公表され、2020年に最新の数値に更新2)されました。


これらパック9およびその後の社会経済的影響に関する調査の結果、次の2点が明確化されました。


・既にランプ中の水銀にかわる信頼性の高い代替品が入手可能であること

・代替による従来品の廃棄発生という負の影響はあるが、水銀使用の回避やLED化等によるエネルギー削減効果といった正の影響で相殺されること


その結果、当初の有効期限から5年が経過しようとしている2021年6月に、ついにこれらランプ中の水銀に関する適用除外用途を対象とした附属書IIIの改正案3)が公表されました。


2.ランプ中の水銀に関する附属書III改正案

ランプ中の水銀に関する附属書Ⅲの適用除外用途(1~4)の改正案については、4週間の意見募集が実施されています。詳細は原文をご確認頂ければと思いますが、、例えば、「電球形およびコンパクト形(小型)蛍光ランプ(1(a)~(g))」を見ると、一般照明用途(1(a)~(e)、(g))は廃止され、特殊用途(1(f))は現状のまま3年間延長するものの、以降は適用除外用途の範囲を「主として紫外線スペクトル光を発するよう設計されたランプ」のみに限定しています。また、「その他の蛍光ランプ(2(b))」を見ると、2(b(3)は最大含有量が15mgから10mgに強化し、2(b)(4)は現状のまま3年間延長するものの、以降は適用除外用途の範囲を「主として紫外線スペクトル光を発するよう設計されたランプ」および「緊急用ランプ」のみに限定しています。


このように今回の改正案では、単純に5年間の延長となっている適用除外用途は少なく、特定用途への絞り込みや最大許容濃度の低減、延長期間の短縮、廃止といった変更が図られています。


なお、ランプ中の水銀に関しては、RoHS指令とは別に水俣条約に基づき、EUでは水銀規則が、日本では水銀汚染防止法が施行され、すでに、一般照明用のコンパクト型蛍光ランプや直管形蛍光ランプ、高圧水銀ランプ、ディスプレイ用冷陰極蛍光ランプ・外部電極蛍光ランプの4種のランプ中の水銀が制限されています。 ただし、高圧水銀ランプ以外の3種に対して設定されている水銀規則や水銀汚染防止法の最大含有量は、、RoHS指令の適用除外用途の数値よりも大きな数値となっています。 つまりEUでは水俣条約に基づく水銀規則はあるものの、これらのランプに関してはより厳しい「深堀り規制」としてRoHS指令が位置づけられていると言え、さらに今回の改正案によってその内容の強化が図られることになります。


3.最後に

このように、ランプ中の水銀に関する適用除外用途については、第1回の見直しが遅れに遅れ、結果として10年間で1回見直しが行われることになります。 また、第1回の見直し後すでに附属書IIIの改正につながった6(a)、6(b)、6(c)等の適用除外用途でも、2016年7月であった期限を大幅に超過した2018年~2020年に改正されましたが、結果として改正後すぐに第2回の見直しに向けた活動が必要となりました。


RoHS指令では第24条において2021年7月22日までに、RoHS指令全体の見直しを行い、必要に応じて改正案を欧州議会および欧州理事会に提出することが定められています。 そのため、既存のRoHS指令の評価が実施されており4)、2021年4月に公表された「RoHS指令の評価に関する報告書」5)では、上述のような適用除外用途の更新手続きの遅れは、産業界が懸念する大きな課題の1つとして挙げられています。 この報告書の内容をふまえ、欧州委員会は2021年第3四半期を目途に、最終的なRoHS指令の評価結果をとりまとめ、その後改正案の検討を進めるものと想定されます。


(井上 晋一)


1)RoHS指令附属書IIIで適用除外用途となっているランプ中の水銀の代替による社会経済的影響評価に関する調査報告書


2)「RoHS指令附属書IIIで適用除外用途となっているランプ中の水銀の代替による社会経済的影響評価に関する調査報告書」で開発された分析モデルによるデータ更新


3)ランプ中の水銀に関する各適用除外用途の改正案

・1(a)、1(b)、1(c)、1(d)、1(e)

・1(f)

・1(g)

・2(a)、2(a)(1),、2(a)(2),、2(a)(3),、2(a)(4)、2(a)(5)

・2(b)(3)

・2(b)(4)

・3(a)、3(b)、3(c)

・4(a)

・4(b)、4(b)-I、4(b)-II、4(b)-III

・4(c)

・4(e)

・4(f)


4)RoHS指令の評価に関する活動


5)RoHS指令の評価に関する報告書


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