Q.721中国における化学品の分類基準について
- tkk-lab 
- 7月25日
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2025年07月25日
【質問】
中国に化学品を輸出する場合、化学品の分類は何をもとに実施すべきなのでしょうか?
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【回答】
中国における化学品の分類は国連GHSをベースとした国家標準であるGB 30000シリーズに基づいて分類することが基本となります。また、危険化学品安全管理条例(国務院令第591号)(*1)で定義された「危険化学品目録」が作成されており、この目録に収載されている物質については、分類されている内容を適用する必要があります。輸出する際には分類に基づいた文書として中国語のSDSやラベルを作成する必要があります。
◆GB30000シリーズについて(*2)
GB 30000シリーズは、国連GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)を中国の国内法規として実施するための国家標準群です。国連GHSは、化学品の危険性・有害性を「物理化学的危険性」「健康有害性」「環境有害性」の3つの大分類に分け、それぞれに複数の分類項目と区分を設けています。主なGB 30000シリーズの構成と内容は以下のようになっています。
GB 30000.1-2024(化学品分類とラベル規範 第1部:通則):
GHS分類の基本原則を規定
(GB 13690-2009からの置き換えで2025年8月1日より適用)
GB 30000.2-2013~GB 30000.28-2013(個別分類基準):
各危険有害性クラス(可燃性液体、急性毒性、皮膚腐食性、発がん性、水生環境有害性など)ごとに、具体的な分類基準が規定されています。物質の物理化学データ、毒性試験データ、疫学データなどをこれらの基準に照らし合わせ、適切な分類クラスと区分を決定します。
これらのGB 30000シリーズは、国連GHSの改訂を段階的に取り入れていますが、必ずしも常に最新版に完全追従しているわけではないため、輸出時点での中国の最新GB標準を確認することが重要です。例えば、前述のようにこれまで一般的な規定は、「GB 13690-2009:化学品分類および危険性公示通則」が適用されてきましたが、名称を「化学品分類とラベル規範 第1部:通則」と改めたGB 30000.1-2024が公表されており、この国家標準が2025年8月1より適用となります(*2)。このGB 30000.1-2024はGHS改訂第8版をベースとして規定されています。また、2025年6月30日に「GB30000.30-2025:化学品分類とラベル規範 第30部:鈍感性爆発物」が発行されており、この国家標準は2026年7月1日から適用することが公表されています(*3)。
◆輸出の際に必要となる文書の作成
化学品を分類した後には、その結果に基づき、中国の関連GB規格に準拠した文書作成が必要となります。これらは、中国国内での流通、使用、輸送において要求されるものであり、輸出の際にも必要となります。
・中国語の安全データシート(SDS)の作成:
GB/T 16483-2008はSDSの16項目の構成と記載内容を定めた推奨標準です。輸出する化学品のGHS分類結果を反映し、中国語で作成する必要があります。SDSは化学品の危険有害性情報、安全な取扱い方法、緊急時の措置など、幅広い情報を提供する文書となります。なお、SDS作成に関連してGB/T 17519-2013は、SDSの具体的な作成ガイドラインとして参照することができます。
・中国語のラベル(包装表示)の作成:
GB 15258-2009は、化学品の危険性分類に基づいた包装表示(ラベル)に関する国家標準です。GHSに基づく絵表示(ハザードシンボル)、注意喚起語(危険/警告)、危険有害性情報、注意書き、供給者情報などを中国語で明確に記載する必要があります。ラベルは、化学品の容器に貼付され、直接使用者に危険情報を伝える役割を担うため、視認性と分かりやすさが重要となります。
これらのSDSとラベルは、中国税関での通関、中国国内での流通、そして最終使用者による安全な取り扱いを確保するための書類として必要となります。
(*1)危険化学品安全管理条例(原文)
(*2)GB30000シリーズ(2025年7月時点)
(*3)標準番号:GB 30000.1-2024
(*4)標準番号: GB30000.30-2025

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