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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q684.アメリカの「Model Toxics in Packaging Legislation」(ひな形法)におけるPFAS規制の適用について

2024年03月22日更新

【質問】

アメリカの「Model Toxics in Packaging Legislation」(ひな形法)が2021年2月改正され、PFASが追加されましたが、各州法ではPFAS規制はまだ、食品包装などの一部に限定されているようです。

当社は工業用製品(B to B)を輸出していますので、2021年のひな形法のPFASは適用されないと思っています。この解釈は正しいでしょうか。ご教示ください。

 

【回答】

Model Toxics in Packaging Legislation(包装における有害物質の規制に関するモデル法:以降「包装材有害物質規制モデル法」と記載)は、米国各州の立法のモデルとなるひな形ですが、現時点(2024年2月)で各州法における包装材のPFAS規制は、食品包装など一部に限定されています。 このため現時点では、貴社の製品(食品包装材ではない工業用B to B 製品)が、PFAS含有に関して、包装材有害物質規制モデル法で輸入禁止など規制されることはありません。 但し、当モデル法を基に、各州の州法などが見直しされる可能性もありますので、今後の動向を注視する必要があります。また、米国では包装材以外にもPFAS含有製品に対して各種の規制があり、これら規制が強化・範囲拡大されていますので注意が必要です。 以下に解説します。


包装材有害物質規制モデル法は、米国で包装材や包装用部品に含有される有害物質を規制するモデル法です。 当モデル法は2021年2月の改正で、PFASを含む包装材および包装用部品の販売または流通の禁止を米国の各州に推奨することが追加されました。 ここでは、いかなる量でも意図的にPFASを含有させた包装材や包装用部品を販売してはならないことや、いかなる包装材や包装部品にも検出可能なPFASを含有しないことを規定しています。


ただ、米国のモデル法案は、あくまで州法など制定時の指針や参考となるものであり、それを義務付けるものではありません。 従い、包装材有害物質規制モデル法も、各州が包装材に含まれる有害化学物質に関する規制を立案する際に参考とするものであり、各州が採択しない限り法的効力はありません。


一方で、今のところ各州の包装材へのPFAS含有に関する規制は、食品包装などに限定されています。 しかしながら、包装材有害物質規制モデルでの規定や、米国内でPFSA含有製品への規制が強化されていることから、今後の動向を注視する必要があります。 米国各州の包装材関連の法規制の動向は、Toxics in Packaging Clearinghouse(TPCH:包装材含有有害物質クリアリングハウス)がHPに情報を開示していますのでご参照ください。1)


以上のように、貴社製品(工業用製品でB to B)がPFAS含有に関して、包装材有害物質規制モデル法で直接規制されることはありません。 また、現状では各州の州法でも、包装材へのPFAS含有規制は食品包装に限定されています。


但し、米国では包装材以外でも様々な州で、PFAS使用の規制範囲が拡大傾向にありますので注意が必要です。 米国でのPFAS含有製品への主な規制は、各種情報の報告義務や、一部の消費者向け製品(敷物、カーペット類、繊維処理剤、調理用具、アパレル製品など)での使用禁止や規制(各州の州法などで規定)などがあります。 例えばメイン州では、米国で初めて意図的に添加されたPFASを含有する全ての製品の販売禁止が規定されています。 2023年1月から州当局への届出義務と一部製品(カーペット、ラグ、布地加工品など)の販売・流通禁止が規定され、2030年1月からは全ての製品での販売・流通が禁止されます。2) 他の州でも同様な形で、段階的な規制強化と範囲拡大が進められていますので、これらの動向についても引き続き確認することが肝要です。


また、各種情報の報告義務としては、2023年11月に、TSCAの第8条(a)(7)に基づくToxic Substances Control Act Reporting and recordkeeping requirements for Perfluoroalkyl and Polyfluoroalkyl Substances(PFAS類に関する報告と記録保管要件規則)3) で、2011年1月1日以降にPFAS類、その混合物、および成形品を製造(輸入を含む)したすべての事業者に対し、企業情報とPFAS類の物質名、用途、製造(輸入)量、副産物情報、環境・健康リスク、職場におけるばく露情報、及び廃棄方法などを、電子的に報告する義務が規定されました。 対象事業者は、本規則発効日から18カ月以内に報告することが求められています。


【参考資料】

1) TPCH HP State Lows


2) Maine Statute Title38 §1614 Products containing PFAS


3) Toxic Substances Control Act Reporting and recordkeeping requirements for Per- and Polyfluoroalkyl Substances

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