2024年11月22日更新
【質問】
TSCAにおける成形品への規制内容はどのようなものでしょうか?
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【回答】
TSCAにおける成形品の規制は、第5条(§2604)1) の重要新規利用規則(SNUR:Significant New Use Rule)と、第6条(§2605)2) のPBT(難分解性、高蓄積性、毒性)物質などの加工・流通の禁止・制限があります。
以下に概説します。
【SNURについて】
TSCA第5条のSubsection(a) paragraph (5)では、重要新規利用(SNU:Significant New Use)と決定した要件での成形品または成形品の区分の一部としての化学物質の輸入または加工に関して、米国環境保護庁(EPA:U.S.Environmental Protection Agency)に届出が必要と規定されています。この届出は、重要新規利用届(SNUN:Significant New Use Notice)と呼ばれ、SNUのために製造・輸入・加工する場合、その90日前までに提出が必要とされています。
また、この規定はEPAが第5条のSubsection(a)のparagraph(2)に基づく規則において、当該規則の対象となる成形品を通じて化学物質の合理的なばく露の可能性を正当化できる場合に限る、とされています。SNUであると決定する要件として、paragraph(2)で以下の4つの全てを考慮するとされています。
(A)化学物質の製造、加工の計画量
(B)使用が人や環境へのばく露の状況、状態をどの程度変化させるか
(C)使用が人や環境へのばく露の規模や期間をどの程度増加させるか
(D)化学物質の製造、加工、商業的流通、廃棄で合理的に予想される方法
SNURの詳細は、連邦規則集(CFR:Code of Federal Regulations)のTitle40 /ChapterⅠ/Subchapter R /Part721 3) に記載されています。Part721のsubpart E(Significant New Uses for Specific Chemical Substances)では、特定化学物質のSNUが示されており、成形品も届出が必要な場合があります。また、SNUR対象物質はPart721のsubpart E以外に、TSCA Inventory 4) の中のフラグ(FLAG)欄に、「S」と記載され示されています。
これらの情報から成形品に含有している物質が、SNURの対象となっているか、と成形品に関する規定があるかを確認する必要があります。
【第6条での規制】
第6条(§2605)において、EPAによるリスク評価で人または環境に不当なリスクがあると認めた場合は、負担が最も少ない要件で、当該化学物質または混合物、成形品に、そのリスクに対する適切な保護要件を適用するとされています。そのうち、成形品に適用される要件として以下のものがあります。
・使用・流通・廃棄に関しての警告・指示・表示の要件
・廃棄の禁止または規制
2016年の改正で、第6条のSubsection(h)が追加となり、2021年に対象となるPBT物質として、以下の5物質が特定されました。
・DecaBDE(デカブロモジフェニルエーテル)
・HCBD(ペルクロロブタ-1,3-ジエン)
・PCTP(ペンタクロロベンゼンチオール)
・PIP (3:1)(リン酸トリアリールイソプロピル化物)
・2,4,6-TTBP(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール)
このうち2,4,6-TTBP、PCTP以外の3物質は、許容閾値無く、それらを含む成形品の製造、輸入、加工が禁止されています。また、PIP(3:1)やDecaBDEには規制除外事項があります。これらPBT物質への要求事項は、CFRのTitle40/ ChapterⅠ/Subchapter R /Part751 /subpart E 5) に収載されています。
またEPAは2024年10月に、PIP(3:1)の特定用途での加工や流通に関する段階的禁止や除外事項を修正することを公表しています 6) 。
【参考資料】
4) TSCA Inventory
6) Persistent, Bioaccumulative, and Toxic (PBT) Chemicals under TSCA Section 6(h) Recent Actions
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