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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q658.日本から輸出する成形品から燃焼や漏えい等で排出される認可物質について

2023年05月26日更新

【質問】

認可物質は日本から輸出する成形品は対象外と理解していますが、燃焼や漏えい等で排出され得る物質は対象となるものでしょうか。

 

【回答】

REACH規則(1)において、人の健康や環境への影響が懸念される物質は、認可対象候補物質(SVHC)とされ、さらにその中から、技術的、社会経済的な検討等を経て、認可対象物質としてREACH規則附属書XIVに収載されます。 2023年5月時点で59物質が登録されています。 認可対象物質を使用、または上市する場合、特定された用途ごとに欧州化学品庁(ECHA)の認可を得る必要がありますが、成形品はその対象となっていません。 そのため、EU域外で製造された認可対象物質を含む成形品については、EUに輸出することは可能ですが、何も対応を行わなくて良いということではありません。 成形品中の物質に関するREACH規則要求事項を満たす必要があり、条件付義務(第7条、第33条)として、以下の2点が成形品の製造者/輸入者に対し課せられています。


1)意図的放出に関する登録義務

以下の条件を満たす場合、登録が必要となります。


・通常及び当然予見できる使用条件下でその成形品から物質が意図的に放出されている。

・意図的に放出する物質が成形品中に、年間に1生産者あるいは輸入業者あたり1tを超える量で存在する。

・その用途が登録されていない

 

意図的放出とは、成形品から物質が使用目的に応じて排出されることを指します。例えば油性ペンのインクや溶剤、消しゴム中の香料などが該当します。 ご質問の燃焼や漏えいは、使用目的とは関係なく、「通常及び当然予見できる使用条件下で」の排出とは考えられませんので、意図的放出には当たらないと考えられますが、ECHAが発行している「成形品中の物質の要求事項に関するガイダンス」(2)を参考にしてご判断ください。


2)SVHCに関する届出義務およびサプライチェーンでの情報伝達義務

意図的放出がない場合でも、以下の条件を満たす場合、届出が必要となります。なお、SVHCが認可対象物質に特定された後もこの義務は継続します。


・SVHCが成形品中に、重量比0.1%を超える濃度で存在する。

・SVHCが成形品中に、年間に1製造業者または輸入業者あたり1tを超える量で存在する。

・その用途が登録されていない。


また、届出義務の有無にかかわらず、「SVHCが成形品中に重量比0.1%を超える濃度で存在する」場合には以下の二つの情報伝達義務が生じます。


・最低限当該物質名を含む、当該成形品を安全に使用できるのに十分な情報を受給者に提供する。

・消費者の要求があれば、最低限当該物質名を含む、当該成形品を安全に使用できるのに十分な情報を消費者に、要求を受けた日から45日以内に無償で提供する。


また、2021年1月からは、改正廃棄物枠組み指令(WFD)(3)に基づいて、「成形品中に重量比0.1%を超える濃度で存在するSVHC」の情報をECHAに対して報告することも義務となりました。 これは、従来のサプライチェーンを通じた情報伝達に、ECHAへの報告義務が加わったことになります。 この報告は、成形品中の高懸念物質データベース(SCIP)(4)で行ってください。


以上のように、認可物質を含む成形品のEUへの輸出に関しては、燃焼や漏えいによる排出は考慮する必要はありませんが、定められた条件に従って、届出、登録、報告の義務が生じます。 貴社の製品がどの条件に当てはまるかを確認し、適切な対応を行ってください。


(参考文献)

(1)REACH規則 (EC) No 1907/2006)改正反映版


(2)成形品中の物質の要求事項に関するガイダンス(Ver.4.0 2017.6)


(3)指令 2018/851/EU (指令 2008/98/EC 廃棄物枠組み指令)を改正する指令amending Directive 2008/98/EC on waste


(4)成形品中の高懸念物質データベース(SCIP)

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