top of page

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

Q610.韓国に成形品を輸出した場合の雇用労働部へのMSDSの登録について

  • 執筆者の写真: tkk-lab
    tkk-lab
  • 2021年10月20日
  • 読了時間: 2分

2021年10月20日更新

【質問】

韓国の顧客より成形品(樹脂加工部品)のMSDS提出が要求されました。 韓国では成形品に特別管理物質が含有している場合にMSDSの雇用労働部への登録が必要となるのでしょうか。

【回答】

2019年に韓国では労働者の労働災害を防止し、快適な作業環境を造成することを目的とした「産業安全保健法」注1)が改正されました。 今回の改正により、「産業安全保健法施行規則」注2)別表18に記載されている労働者に対して労働災害をもたらす危険有害性分類基準に該当する化学物質(以下 MSDS対象物質)、その混合物を製造または輸入する韓国国内に拠点を持つ事業者は、第110条に基づき製造または輸入前に化学物質安全データシート(MSDS)を作成し、雇用労働部に提出する必要があります。

国外の事業者(輸出者)は韓国国内の事業者(輸入者)に代えて、雇用労働部令で定める要件を満たした韓国国内の別の事業者にMSDS提出を委託することが可能です。


ただし「産業安全保健法施行令」注3)第86条により「雇用労働部長官が毒性及び爆発性などに起因するための程度が少ないと認める化学物質」は「産業安全保健法」第110条のMSDS提出義務から除外されています。

「雇用労働部長官が毒性及び爆発性などに起因するための程度が少ないと認める化学物質」は、「化学物質の分類・表示や安全データの関連基準」注4)第3条で説明されており、工程で労働者がMSDS対象物質に晒されるリスクが無い成形品中の物質や混合物(「労働安全衛生基準に係る規則」注5) 別表12に記載されている化学物質 を除く)を挙げています。  

「産業安全保健法」第36・38条では事業者に対して、労働者の作業行動の中で労働災害を誘発する危険有害因子を見つけて評価を行い、労働災害を防止するための措置を講じることを求めています。 工程において成形品に含まれている有害物質が気化もしくは粒状の状態で労働者の体内に入った場合、健康障害などの労働災害を引き起こす可能性があります。 事業者は防止措置を講じるために成形品中の有害物質の情報を入手する必要があります。


これらのことから、韓国国内でMSDS対象物質を含有した成形品を製造・輸入する事業者は基本的にはMSDSの雇用労働部の提出は不要です。 しかし、成形品における通常の使用で含有しているMSDS対象物質のばく露のリスクがある場合には、顧客よりMSDSの提出が求められる可能性があると考えられます。 そのため、貴社と顧客の間で十分な情報交換を行う必要があると考えられます。


注1)


注2)


注3)


注4)


注5)


最新記事

すべて表示
Q729.REACH規則の適用範囲と除外規定について

2025年09月26日更新 【質問】 REACH規則の適用範囲と除外規定についてCEマーキングに非該当の手動機械(工具)はREACHの対象外でしょうか?除外規定の要件はどのようになっているのでしょうか。 ___________________________________...

 
 
 
Q728.EU電池規則における安全性を満たさない電池の接続について

2025年09月19日更新  【質問】 EU電池規則において基本的な安全性を満たしていない電池が接続される危険性や安全面の懸念は考慮されているのでしょうか? _________________________________________ 【回答】...

 
 
 

コメント


©  一般社団法人東京環境経営研究所(TKK)

  • Facebook - White Circle
  • YouTube - White Circle
  • アマゾン - ホワイト丸
bottom of page