当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • tkk-lab

Q619.成形品を輸出した場合のPBT非含有宣言について

2022年03月29日更新

【質問】

米国へ成形品を輸出する場合、PBT非含有宣言の必要はあるでしょうか。 宣言書の様式は決まっていますでしょうか。

 

【回答】

PBTの規制は米国有害物質規制法(TSCA)に基づいて行われます。成形品の輸出に関して、PBT非含有宣言=TSCA適合宣言は不要です。 ただし、輸入業者から非含有証明を求められることが想定できますので、独自様式で結構ですので非含有証明書等を発行し、その根拠となる情報やデータを収集する必要があります。


TSCAでは、その第6条(h)に基づき、難分解性、高蓄積性、毒性(PBT)を有する以下の5物質に対する規則が2021年1月に官報公示されました(1)。


・デカブロモジフェニルエーテル:DecaBDE(CAS番号(R)1163-19-5)

DecaBDEおよび同物質を含有する混合物や成形品について、2021年3月8日以降は製造・輸入や加工が禁止され、2022年1月6日以降は流通も禁止されました。


・リン酸トリアリールイソプロピル化物:PIP (3:1)(CAS番号(R)68937-41-7)

2022年3月8日に官報公示された最終規則により、PIP (3:1)を含む成形品、およびそれらの成形品の製造に使用されるPIP (3:1)の加工と配布の禁止に関する規則への遵守日が2024年10月31日まで延期されました。


・2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール:2,4,6-TTBP(CAS番号(R)732-26-3)

35ガロン未満の容器で、2,4,6-TTBPを0.3wt%超含有する同物質および混合物の流通が、同物質を0.3wt%超含有する燃料添加剤および潤滑剤添加剤としての使用を目的とした加工および流通が2026年1月6日以降禁止されます。


・ペルクロロブタ-1,3-ジエン:HCBD(CAS番号(R)87-68-3)

HCBDおよびHCBDを含有する混合物や成形品の製造・輸入、加工、流通が2021年3月8日以降禁止されました。


・ペンタクロロベンゼンチオール:PCTP(CAS番号(R)133-49-3)

PCTPおよびPCTPを1wt%超含有する混合物や成形品について、2021年3月8日以降は製造・輸入や加工が禁止され、2022年1月6日以降は流通も禁止されました。


上記のように、2,4,6-TTBP以外の4物質はそれらを含む成形品についても製造・輸入や加工が禁止されています。


輸入製品のTSCA適合証明については、米国税関国境保護局(CBP)の輸入通関に係る規則(2)によると、輸入業者は有害物質の輸入に際して、「貨物がTSCAの規則または命令に適合していること(ポジティブ証明)」または「貨物がTSCAの対象外であること(ネガティブ証明)」を示す陳述証明書をCBPに提出することが求められています。 ただし、成形品については他の法律により規制される特定製品(殺虫剤(中間体を除く)、食品、食品添加物、医薬品、化粧品、放射性物質など)を除き、上記陳述証明書は不要とされています。 これらの特定製品は他の法律で規制されるため、ネガティブ証明の提出が必要です。 貴社の製品が特定製品に該当するかはEPAの「TSCA13条輸入コンプライアンスチェックリスト」(3)により確認してください。


ご質問の「PBT非含有宣言は必要か?」に対しては、上述のように成形品については、非含有証明(=ポジティブ証明)の提出は不要です。 ただし、2,4,6-TTBP以外の4物質は成形品としても加工や流通が禁止されており、違反した場合には多額の罰金が課されるので、輸入業者からTSCAに適合していることの証明書を求められることが考えられます。 PBTの非含有証明書あるいは不使用証明書は貴社の独自様式で構いませんが、その証明の根拠となる情報や資料を準備する必要があります。 手順としては、①各材料メーカーから非含有証明を集める。②非含有証明が受領出来ない場合は不使用証明と工程内での混入がないことの証明を求める。③いずれも難しい場合は機器による分析を行う。 また、chemSHERPAの活用も有効と考えられます。 詳しくは当Q&AのQ.613で解説していますのでご参照ください。



(参考リンク)

(1)有害物質規制法(TSCA)第6条に基づく「難分解性、高蓄積性、毒性(PBT)」を有する5物質に対する最終規則

https://www.epa.gov/assessing-and-managing-chemicals-under-tsca/persistent-bioaccumulative-and-toxic-pbt-chemicals


(2)連邦行政規則集19.12.121 CBP規則 TSCAに関する報告義務

https://www.ecfr.gov/current/title-19/chapter-I/part-12#12.121


(3)TSCA Section13 Import Comlience Checklist

https://www.epa.gov/sites/default/files/2015-03/documents/checklist.pdf


閲覧数:892回

最新記事

すべて表示

2022年09月30日更新 【質問】 REACH規則の制限Entry 68(パーフルオロカルボン酸(PFCA)とその関連物質)において、炭素数8以下(C≦8)は制限されないということでしょうか。 【回答】 現在のREACH規則(2022年5月1日版)で、制限Entry 68(パーフルオロカルボン酸(PFCA)とその関連物質)は、炭素数C9-C14が規制対象です。炭素数8以下(C≦8)は、REACH

2022年09月30日更新 【質問】 デザイン性の高い高級筆記具(単色のボールペン)をEUに輸出します。 REACH規則の成形品の義務を教えてください。 なお、インクは大手文房具メーカーのボールペンインクと同じ物を購入しています。 【回答】 REACH規則での成形品に関して、ECHA発行の「REACH規則における成形品中の物質に関する要求事項に関する手引書」(以下「手引書」)に解説があります1)。

2022年09月22日更新 【質問】 事務用品のメーカーです。パンデミックの長期化から顧客が触れる部位を抗菌処理し、アメリカに販売する場合の対応を教えてください。 【回答】 御社の抗菌加工された事務用品は環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)に抗菌性農薬を使用した成形品として登録申請をして承認される必要があると考えられます。 米国では抗菌加工された成形