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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q621.Deca-BDEを意図的に添加している場合の閾値について

2022年04月08日更新

【質問】

弊社は電気電子機器用の部品メーカーです。納入先からアメリカ向け製品について、Deca-BDEは意図的添加を禁止するとの通知がきました。 共通要求事項では0.1%未満となっています。


意図的添加でない場合は、0.1%を超えてよいのか、意図的添加である場合は0.1%未満で不適合になるのでしょうか。

 

【回答】

Deca-BDE(デカブロモジフェニルエーテル)は臭素系難燃剤の1種でプラスチック樹脂の難燃剤として使用されています。 自然環境で分解されにくく生物蓄積性も高い物質で、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)では製造、使用、輸出を禁じる物質を定めた附属書Aに収載されています。 EUではREACH規則の制限物質リストに収載され、日本でも化審法の第一種特定化学物質に指定されています。


貴社の部品を使用した製品が輸出されているアメリカでは、Deca-BDEはアメリカの連邦法である「有害物質規制法」(TSCA)注1)とカリフォルニア州法である「健康と安全に関する法律」注2)で規制されています。

TSCA第6条(a)では化学物質およびその混合物の製造、加工、使用または廃棄が人の健康や環境に対して重大なリスクを与える場合には、規制を行うべきことが定められています。2016年の改定で新設されたTSCA第6条(h)では米国環境保護庁(EPA)は難分解性、生物蓄積性および毒性の高い(PBT)化学物質について、改正TSCAの施行日から3年以内に第6条(a)に基づく規則を提案し、その提案から18か月以内に最終規則を官報公示するべきと定めています。Deca-BDEは、2021年1月6日に第6条(a)に基づきPBTとして特定されました。DecaBDEおよび同物質を含有する混合物や成形品について、自動車および航空機用の交換部品など下記適用除外を除き2021年3月8日以降は製造・輸入や加工が禁止されています。注3)


TSCAにおけるDECA -BDEの適用除外

■病院で使用するカーテン

■原子力発電施設で使用する電線およびケーブルの絶縁部

■航空宇宙車両の一部として使用される部品

■自動車部品

■規則公表前に製造された輸送用パレット

■DECA-BDEを含有したプラスチックのリサイクル品


Deca-BDEの規制に濃度基準は設けられていません。事業者はTSCA第6条に基づき、実行可能な範囲で人体や環境へのばく露を減少させるようにDeca-BDEの製品への含有量を出来るだけ少なくする必要があります。


具体的な濃度基準の設定については、RoHS(II)指令の整合規格EN IEC 63000:2018の引用規格であるIEC 62474データベースのDSL(Declarable Substance List)に記載されている数値が参考になります。注4)


DSLは電気電子部品に適用される法規制に適用される物質を収載基準としていますが、アメリカも含む世界的な法規制物質に対応しています。 Deca-BDEについては、非意図的含有が0.1wt%、意図的含有が禁止となっています。


一方、「健康と安全に関する法律」では、Deca-BDEを0.1wt%以上含有する電気電子機器のカリフォルニア州内での製造および販売を禁止しています。

TSCA第18条では州法と本法律で規制内容が異なる場合の州法が優先される旨が記載されています。 但し、例外としてTSCA第6条に基づき規制される化学物質についてはTSCAが優先されます。


以上のことから貴社製品中のDeca-BDEの含有量については非意図的添加の場合の濃度限界値は0.1wt%で、意図的添加は認められていませんので0.1wt%未満であっても不適合となります。


参考URL

注1)TSCA


注2)カリフォルニア州法「健康と安全に関する法律」


注3)TSCA第6条に基づくDECA-BDEに関する最終規則


注4)IEC62474 DSLリスト

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