top of page

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q633.顧客が触れる部位を抗菌処理した事務用品をアメリカに販売する場合の対応について

2022年09月22日更新

【質問】

事務用品のメーカーです。パンデミックの長期化から顧客が触れる部位を抗菌処理し、アメリカに販売する場合の対応を教えてください。

 

【回答】

御社の抗菌加工された事務用品は環境保護庁(Environmental Protection Agency:EPA)に抗菌性農薬を使用した成形品として登録申請をして承認される必要があると考えられます。


米国では抗菌加工された成形品(事務用品)の販売と使用は、連邦農薬・殺菌剤・殺鼠剤法(Federal Insecticide, Fungicide, and Rodenticide Act:FIFRA)1) および関連する州の規制によって厳しく規制されています。 FIFRAは、農薬のみならず、抗菌加工を施したプラスチック製品,金属製品,セラミックス製品(中間製品を含む)などにも適用されます。


EPAへの登録方法に関してはEPAのホームページ(HP)に「農薬登録マニュアル」(Pesticide Registration Manual)2) がありますので、詳細はそちらを参考にしてください。


ここでは一般的な登録のプロセスについて簡単に説明します。


1.EPA企業番号(Company Number)の取得申請

製品の輸出・販売にあたっては、まず、企業はEPA企業番号と呼ばれる企業に割りあてられる番号を取得して、米国内の住所を登録する必要があります。 このため、輸出業者はEPAとの連絡窓口となる米国内住所を有する代理企業を指定します。


2.申請書類一式の作成

申請書類には、1)管理情報と2)抗菌剤のデータを記入します。


1)管理情報には、申請者の名前、住所、企業番号、代理人情報、申請書の概要、抗菌剤の名称、抗菌剤のラベル案、および登録料の支払い方法等が含まれます。また、申請前に担当部局と事前相談をした場合にはその記録を提出します。


2)抗菌剤のデータに関しては、同マニュアルの第4章および「抗菌性農薬の有効性要件」(Efficacy Requirements for Antimicrobial Pesticides)3) を確認ください。抗菌剤が既に他社により登録済の場合には、登録人に対価を支払いデータの使用許可を受けることにより申請に用いることができます。


3.EPAへの申請書類一式と申請料の送付

EPAに送付するための必要事項を記載したカバーレター(必須ではないが、EPAでは添付を推奨)、EPAの書式を用いたForm8570‐1の登録申請書、所定の手数料の支払証明書を送付します。


4.EPAからの問い合わせに対する対応

EPA が申請書と申請料を受け取ると、申請書に必要な項目が記載されているかを確認します。 すべてのコンポーネントが含まれているかを 21日以内に判断します(Content Screen)。 その後、45日間又は90日間の技術審査が行われ、問題があれば申請者に通知されます。 申請者は、申請を完成させるための修正または追加事項を行うために 75 日間与えられます。


5.EPAからの登録許可

EPAは、提出されたデータ、情報、および提案されたラベルのレビューに基づいて、リスク評価を使用して規制上の決定を下します。


6.製品販売予定の州への登録

登録と使用は、連邦法だけでなく、州ごとに異なる州法や規制によっても規制されています。 登録要件については、各州の情報ご確認ください。州には、その州内で抗菌処理済製品を配布または販売する前に満たさなければならない追加の要件がある場合があります。


7.輸入時の手続き

実際に成形品を輸入する場合には、米国内に到着した時点で到着通知(Notice of Arrival: NOA)、申請(EPA Form 3540-1)を各地域のEPA事務所に提出しなければなりません。 NOAには、貨物(抗菌剤)の内容と量、到着日などの情報を記載する必要があります。


なおFIFRAでは、物品または物品自体を保護するために抗菌剤で処理された場合や、塗料コーティングを保護するために抗菌剤で処理された塗料、または昆虫または真菌の侵入から木材を保護するために処理された木材製品が使用のために、その使用を意図して、かつ、指定された方法でのみ使用されることが明記されている場合には登録が免除されます。


EPAのHPでは抗菌加工された成形品の登録申請書提出前に担当部署に相談することを推奨しています。4)


参考として

環境保護庁がコロナウイルス(Covid-19)に効果があるとした抗菌剤のリスト(List N)5) が公表されています。リストにあるすべての抗菌剤が登録済とは限りませんので確認が必要ですが、登録済であれば2.2)抗菌剤のデータ

を流用が可能ですし、未登録の場合でも承認後の審査が短縮される可能性があると思われます。



2) 農薬登録マニュアル


3)抗菌性農薬の有効性要件


4)申請前のガイダンス


5)EPAが効果を認めたもののリスト(List N)https://www.epa.gov/coronavirus/about-list-n-disinfectants-coronavirus-covid-19-0

閲覧数:861回

最新記事

すべて表示

Q686.化審法における第一種特定化学物質としてデクロランプラスの規制が始まる時期について

2024年04月05日更新 【質問】 POPs条約のCOP11で「デクロランプラス」が附属書Aに追加することが決定されましたが、化審法の第一種特定化学物質として規制が始まるのは何時頃でしょうか。 情報があればご教示ください。 【回答】 デクロランプラスを含むストックホルム条約による廃絶物質(附属書A)収載決定は2024年2月26日に通知されました(*1)。 この通知により、1年後の2025年2月2

Q685.PTFEの成形加工部品におけるPFOAの残留可能性と化審法との関係について

2024年04月03日更新 【質問】 PTFEの成形加工部品を購入して、電子製品の組み立てをしています。 PFOAが残留していることはあるでしょうか。 この場合は、当社は化審法の使用者となるでしょうか。 ご教示ください。 【質問】 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下、化審法)、第1条で「この法律は、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質に

Q684.アメリカの「Model Toxics in Packaging Legislation」(ひな形法)におけるPFAS規制の適用について

2024年03月22日更新 【質問】 アメリカの「Model Toxics in Packaging Legislation」(ひな形法)が2021年2月改正され、PFASが追加されましたが、各州法ではPFAS規制はまだ、食品包装などの一部に限定されているようです。 当社は工業用製品(B to B)を輸出していますので、2021年のひな形法のPFASは適用されないと思っています。この解釈は正しいで

Комментарии


bottom of page