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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q650.CLSや認可までの意見募集への意見提出について

2023年02月17日更新

【質問】

CLSや認可までの意見募集ですが、意見を提出するのはグローバルでの業界団体になると考えてよろしいでしょうか?

 

【回答】

EUの意見募集には、グローバルな業界団体だけでなく、すべての利害関係者が、個人であっても意見提出できます。


コメントを記述する言語は特に指定されていません。 しかし、基本はEUの公用語になります。


以下、詳しく解説します。


欧州化学物質庁(ECHA)は、「規制の手順を進めるときに、可能な限り幅広い科学的情報を収集するために、すべての利害関係者からフィードバックを得るように意見募集をします。」*1) としています。 ECHAのWebサイトでは、化学物質の総合的な登録・評価・認可・制限に関する規則(REACH規則)、物質および混合物の分類・表示・包装に関する規則(CLP規則)、殺生物性製品規則(BPR規則)、化学薬品指令(CAD)/発がん性物質および変異原性指令(CMD)、残留性有機汚染物質規則(POPs規則)などの規制変更の度に、意見募集が行われています。 また、過去の意見募集の結果もまとめられています。


ある化学物質が、REACH規則の高懸念物質候補リスト(CLS)や認可物質一覧(附属書XIV)に収載されるときには、附属書XVに規定されている「ドシエ」と呼ばれる一連の評価文書が作成され、これに対して意見募集が行われます。


1.CLSを特定するときの意見募集 *2)

欧州委員会の要請に応じて、加盟国またはECHAが、ドシエを作成して、物質をSVHCに特定することを提案します。 すべての利害関係者は、このドシエをECHAの意見募集のWebページで見つけることができ、意見募集期間中に、これに関するコメントを提出するよう求められます。


次の事柄に関するコメントは、特に歓迎されます。

・物質の識別情報(物質名/EC番号/CAS番号/分子構造など)

・PBTまたはvPvBの毒性、および同等レベルの懸念を引き起こす毒性

・物質の用途、使用量、曝露、代替物、およびリスクに関するコメントおよび詳細情報

 

ただし、CLP規則に含まれる「調和分類および表示」(CLH)に疑問を呈するコメントは、REACH規則のコンテキストでは考慮されません。


SVHCの提案をした加盟国またはECHAは、コメントに応答します。 物質をSVHCとして特定するかどうかに関わるコメントは、物質をSVHCとして特定すべきかどうかを評価する加盟国委員会(MSC)に転送されます。


2.認可リストに含めるための推挙草案に関する意見募集 *3)

ECHAは、CLSの物質を定期的に評価して、どの物質を認可リスト(REACH附属書XIV)に優先的に含めるかを決定します。 通常1.5~2年に1回の頻度で、3か月間の意見募集が行われます。


ECHAの推挙草案に関するコメントは、物質ごとに用意されたWebフォームを使用します *4)。 このWebフォームの場所は、ECHAの意見募集のページ *1) にある各法令の意見募集中物質リストの物質詳細ページに記載されています。 ECHAは、意見募集後に受け取ったコメントを公開します。 コメントへの回答は、最終的な推挙事項とともに提供されます。


ECHAは、推挙草案を更新する際に、受け取ったコメントを考慮に入れます。 コメントは、MSCが意見を起草する際にも考慮されます。 MSCの意見を考慮して、ECHAはその勧告を最終決定します。 これはその後、認可リストに含める物質に関する最終決定のために欧州委員会に提出されます。


欧州委員会は、ECHAの勧告に基づいて、認可リストに物質を含めることを決定します*5) 。 ECHAは欧州委員会に代わって、提案された物質を認可リストに含めることによる経済的、社会的、健康および環境への影響(費用と便益)に関する情報の提出も求めます。 ECHAは、受け取ったすべての提出物を欧州委員会に直接渡します。


*1) ECHA 意見募集


*2) 高懸念物質候補リスト(CLS)を特定するときの意見募集


*3) 認可リストに含めるための推挙草案に関する意見募集


*4) ECHAの勧告草案に関する意見募集への参加方法


*5) 欧州委員会による並行情報要請への参加方法

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