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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q616.EN IEC63000:2018による適合宣言書再提出の必要性について

2022年03月08日更新

【質問】

2012年頃に開発しEU RoHS(II)について、EN50581:2012で適合宣言をして販売していました。 最近、また引き合いがありましたが、適合宣言書はEN IEC63000:2018でもう一度出しなおす必要があるのでしょうか?

 

【回答】

RoHS(II)指令の整合規格はEN50581:2012でしたが、2020年5月18日にEN IEC63000:2018が発効し、これに置き換わることになりました。 注1)移行期間として2021年11月18日までは両方の規格を使用することができましたが、以降はEN IEC63000:2018のみをRoHS(II)指令の整合規格として使用することになりました。 適合宣言書と技術文書についても2021年11月18日以降はEN IEC63000:2018に記載している手順に従い、作成する必要があります。


EN IEC63000:2018はEN50581:2012に基づき作成されたIEC63000:2016をベースとしています。 EN50581:2012とEN IEC63000:2018との間に大きな違いはありません。


一方、EN IEC63000:2018への置き換えによる下記内容の変更が行われています。


■EN62474の整合規格化

EN50581:2012では参考文献として記載されていたEN62474がIEC 62474:2012として引用規格に追加されています。 追加により適合確認のために調査すべき情報である材料宣言の内容が明確化され、材料宣言はIEC 62474:2012 にある4.2.3項で指定された要件を満たすべきであるとされています。

なお現時点では、IEC62474は改版されて2018年版になっています。注2) 但し、整合規格はあくまでもIEC 62474:2012であり、2018年版ではないことには注意が必要です。


■材料宣言の対象物質の拡大

EN62474では、調査対象をIEC 62474:2012のデータベースに収載されている物質にまで広げることを推奨しています。 但しRoHS(II)指令に対応することが目的なのであれば、これまで同様、規制有害物質の10物質のみで構いません。


■IEC 62321の適用版数の変更

電気技術製品中の特定の物質の測定に関する規定であるIEC 62321:2009がIEC 62321(all part)に変更になっています。 この変更では発行年の指定がないため、常に最新版の規定が適用されることになります。


適合宣言書とその証明となる技術書類については常に発効後もメンテナンスを行い、最新の整合規格に適合させる必要があります。 EN IEC63000:2018とEN50581:2012に大きな違いはないため、RoHS(II)指令の適合宣言書の場合は大きな変更の必要はありません。 但し、EN50581:2012に適合している適合宣言書には整合規格としてEN50581:2012が明記されているので、適合宣言書中のEN50581:2012の表記をEN IEC63000:2018に書き換える必要があります。


RoHS(II)指令は、EU市場への有害化学物質の流入を防ぐために製造者に対し、第7条に規定されている必要な技術文書の作成、内部生産管理の実行、適合宣言書の作成等を要求しています。 これは製造者がEU域外の事業者であっても同様です。


またEU側の輸入者は、製品をEU域内に上市する事業者として、その製造者によって技術文書が作成され、適合性評価手順が適切に行われていること、CEマーキングがなされていることを確認し、適合宣言書のコピーを保管すること等が求められ、監視当局の要請に応じて適合宣言書を提出できるようにしなければならない義務もあります。注3)


以上の様に、日本の製造者として、今後共EU域内へのその製品の上市を継続するためには、今回変更された整合規格に対応した適合宣言書の出し直しをすることが求められます。


注1)


注2)


注3)

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