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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q638.適用除外用途の見直し調査の最終報告書に記載がない場合の取り扱いについて

2023年07月28日更新

【質問】

適用除外用途の見直し調査の最終報告書に記載がない場合、期限の延長はしないということでしょうか。 また、このようなケースですでに有効期限が切れている場合、どのような扱いとなるのでしょうか。

 

【回答】 EU RoHS指令の適用除外用途は、有効期限の18か月前に更新申請がされない場合、有効期限日を過ぎると失効となります。 更新申請された適用除外用途は審議・評価され、Pack22、23、24などの最終報告書で新たな有効期限が公開されます。 更新申請で延長が否認された適用除外は移行期間を経て失効となります(RoHS指令第5条6項)。 否認決定時の改正で移行期間として12か月または18か月が示されます。 また、更新審議中の適用除外は、審議中に期限が切れても審議完了まで継続されます。


各報告書には審議対象以外の適用除外用途については有効期限などについて記載されませんので、対象外の適用除外の有効期限は他の情報を確認する必要があります。 RoHS指令適用除外用途の有効期限は、2011/65/EU(RoHS 2)1) の第5条(附属書の科学的・技術的進歩への適応)2項で、カテゴリー1~7、10、11の電気電子機器はRoHS指令適用開始から最長で5年、カテゴリー8及び9の電気電子機器は最長で7年とされ、附属書Ⅲの「Scope and dates of applicability」欄には、個々に定める有効期限が記載されています。 しかし、この欄が空欄となっている適用除外用途は、RoHS指令適用開始時期が異なるカテゴリーがあり(カテゴリー11、及びカテゴリー8,9の一部)有効期限が読み取れないことや、更新申請の審議状況が附属書には情報がない、など有効期限の最新状況が分かりづらくなっています。


このため欧州委員会は、「Implementation of RoHS Directive」2) で、適用除外用途などの現状をExcelファイル「Exemptions list – validity and rolling plan_July2021」にて公表していますので、ここから各適用除外用途の状況を確認してください。 2023年7月現在、2023年3月2日発行のリストが最新版となっています。このExcelファイルに、附属書Ⅲ・Ⅳの適用除外用途毎、及びカテゴリー毎(「1~7と10、11」、「8,9(体外診断医療装置と産業用監視制御装置以外)」、「8の体外診断医療装置」、「9の産業用監視制御装置」などで分類)に、有効期限、更新申請日、現状のステータスなどが表記されています。 「Validity status」欄に以下の4つのステータスで、各適用除外用途の現状を表記しています。


・Valid:通常運用期間中(開始から有効期限終了の18か月前までの間)で更新申請されていない

・Valid - requested for renewal:申請期限内(有効期限終了の18か月前)に更新申請され審議中(審議中は有効)

・Valid - no longer renewable:申請期限内に更新申請されなかった、現在の有効期限まで有効

・No longer valid:有効期限終了(失効)


なお、当リスト更新日(2023年1月30日)以降の変更については、別途個々に状況を確認してください。


【参考資料】

1) 2011/65/EU(RoHS 2)2023/03/01:

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A02011L0065-20230301


2) Implementation of RoHS Directive:

https://environment.ec.europa.eu/topics/waste-and-recycling/rohs-directive/implementation-rohs-directive_en


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