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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

執筆者の写真tkk-lab

RoHS指令の各種ランプの水銀に関する附属書IIIの改正

2022年03月24日更新

2月15日付けの当コラム1)で、RoHS指令の各種ランプの水銀に関する附属書III(第4条(1)の制限から適用除外される用途)の改正動向を掲載していますが、免除期間と適用日(2022年10月1日)が正式決定しました。また、2月15日付けの当コラム掲載後に、別項目の用途に関しても官報告示がありましたので、その内容を説明します。


1. 2(a)、2(a)(1)、2(a)(2)、2(a)(3)、2(a)(4)、2(a)(5):一般照明用の両口金蛍光ランプ中の水銀2)

現在、一般照明用の両口金型直管蛍光ランプにおける水銀の使用を、2(a)(1):通常の寿命を有し、管径が9mm未満の3波長形蛍光体(例:T2):4mg、2(a)(2):通常の寿命を有し、管径が9mm以上17mm以下の3波長形蛍光体(例:T5):3mg、2(a)(3):通常の寿命を有し、管径が17mm超28mm以下の3波長形蛍光体(例:T8):3.5mg、2(a)(4):通常の寿命を有し、管径が28mmを超える3波長形蛍光体(例えばT12):3.5mg、2(a)(5):長寿命(25000時間以上)の3波長形蛍光体:5mg、をそれぞれ適用除外としています。 この適用除外の更新申請は2件あり、所定のプロセスで審議されました。 現在は水銀を含まない発光ダイオード(LED)代替品がEU市場でますます入手しやすくなっていますが、消費者や業務目的の多種多様な一般照明用の両口金型直管蛍光ランプと完全に互換性のある代替品にはならないと意見が提出されました。 しかし、審査では、本用途における水銀の代替が科学的・技術的に可能であるという研究結果が示されました。 また、代替品の社会経済的影響に基づく計算により、全体的な節約と、環境、健康、消費者安全に関する総合的な利益がもたらされることが示されました。 結論として、いずれの適用除外基準も満たされないと結論づけられ、免除期間は終了するとされました。


具体的には、2(a)(1)、2(a)(4)、2(a)(5)は2023年2月24日まで、2(a)(2)、2(a)(3)は2023年8月24日までの免除期間となりました。


2. その他の各種ランプの水銀に関する免除期間

(1)4(a)、4(a)-I項:その他の低圧放電ランプ中の水銀3)

4(a)は2023年2月24日まで、4(a)-Iは2027年2月24日までの免除期間となりました。

(2) 4(c)、4(c)-I、4(c)-II、4(c)-III:その他の一般照明用の高圧ナトリウム (蒸気) ランプ中の水銀4)

それぞれ2027年2月24日までの免除期間となりました。

(3) 2(b)(4)-I、2(b)(4)-II、2(b)(4)-III:その他の一般照明用および特殊用途の蛍光ランプ中の水銀5)

2(b)(4)-Iは2025年2月24日まで、2(b)(4)-II、2(b)(4)-IIIは2027年2月24日までの免除期間となりました。

(4) 4(e):クォーツメタルハライドランプ中の水銀6)

2027年2月24日までの免除期間となりました。

(5) 1(g):一般照明用で寿命が20,000時間以上の30W未満の片口金 (コンパクト形) 蛍光ランプ中の水銀7)

2023年8月24日までの免除期間となりました。

(6) 1(f)-I、1(f)-II:特殊用途の片口金 (コンパクト形) 蛍光ランプ中の水銀8)

1(f)-I は2027年2月24日まで、1(f)-II は2025年2月24日までの免除期間となりました。

(7) 3(a)、3(b)、3(c):特殊用途の冷陰極蛍光ランプ (以下:CCFL) および外部電極蛍光ランプ (以下:EEFL) 中の水銀9)

それぞれ2025年2月24日までの免除期間となりました。

(8)1(a)、1(b)、1(c)、1(d)、1(e):一般照明用の片口金 (コンパクト形) 蛍光ランプ中の水銀10)

それぞれ2023年2月24日までの免除期間となりました。

(9) 4(b)、4(b)-I、4(b)-II、4(b)-III:平均演色評価数が60を超えるように改善された一般照明用の高圧ナトリウム (蒸気) ランプ中の水銀11)

4(b)は2027年2月24日まで、4(b)-I、4(b)-II、4(b)-III は2023年2月24日までの免除期間となりました。

(10) 2(b)(3):非直管の3波長形蛍光ランプ中の水銀12)

15mgの免除期間は2023年2月24日まで、10mgは2023年2月24日から2025年2月24日まで免除するとされました。

(11) 4(f)-I、4(f)-II、4(f)-III、4(f)-IV:特殊用途のその他の放電ランプ中の水銀13)

4(f)-I は2025年2月24日まで、4(f)-II、4(f)-III、4(f)-IV は2027年2月24日までの免除期間となりました。


3. 改正後の対応

1項で述べたように、2(a)(1)、2(a)(2)、2(a)(3)、2(a)(4)、2(a)(5)は、免除期間の更新がされなかったため、対応が必要となります。


また、2項は2月15日付けの当コラムの内容と整合しており、より具体的な年月日が示されたものになります。


免除期間が更新された項目に対しては、「加盟国は遅くとも(本指令の発効日から)6ヶ月後までに、必要な法律、規制及び行政規定を採択し公表しなければならない」とされており、各国で法整備が進むものと考えられます。


4.  水銀に関する水俣条約との関係

水俣条約14)の「第四条 水銀添加製品」では、「締約国は、附属書Aにおいて適用除外を定める場合又は第六条の規定に従って当該締約国が適用除外を適当な措置をとることにより、当該水銀添加製品の登録した場合を除くほか、同附属書第一部に掲げる水銀添加製品について定める段階的廃止期限の後は、製造、輸入又は輸出を許可しないものとする。」と規定しています。 また、「第六条 要請により締約国が利用可能な適用除外」では、「いずれの国又は地域的な経済統合のための機関も、次の時に事務局に対する書面による通告を行うことにより、一又は二以上の附属書Aに掲げる段階的廃止期限の適用除外を登録することができる。登録には、締約国の適用除外の必要性を説明する文書を添付する。a)この条約の締約国となる時 b)附属書Aの改正により加えられた水銀添加製品又は附属書Bの改正により加えられた水銀を使用する製造工程の場合には、適用される改正がその締約国について効力を生ずる日まで」とされています。


その附属書Aに記載されている製品で、本コラムに関連するものは以下の通りです。

1)発光管当たりの水銀含有量が五ミリグラムを超える三十ワット以下の一般的な照明用の

コンパクト蛍光ランプ(CFLs)

2)次のものに該当する一般的な照明用の直管蛍光ランプ(LFLs)

・電球当たりの水銀含有量が五ミリグラムを超える六十ワット未満の三波長形蛍光体を使用したもの

・電球当たりの水銀含有量が十ミリグラムを超える四十ワット以下のハロリン酸系蛍光体を使用したもの

3)一般的な照明用の高圧水銀蒸気ランプ(HPMV)

4)次のものに該当する電子ディスプレイ用の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)及び外部電極蛍光ランプ(EEFL)

・電球当たりの水銀含有量が三・五ミリグラムを超え、及び長さが五百ミリメートル以下のもの

・電球当たりの水銀含有量が五ミリグラムを超え、及び長さが五百ミリメートル超千五百ミリメートル以下のもの

・電球当たりの水銀含有量が十三ミリグラムを超え、及び長さが千五百ミリメートル超のもの


水銀に関する水俣条約第4回(第2セグメント)締約国会議が3月21日から25日に開催されます。 15)この会議では、水俣条約「第六条 要請により締約国が利用可能な適用除外」に対応するため、EUから附属書Aの改正提案16)が提出されています。この提案書には、一般照明用ハロリン酸塩蛍光体直管蛍光ランプ(LFL)の期限を2023年にするように求めたものです。 しかし、この提案書は2021年8月2日に提出されたもので、本コラムの情報以前のものです。 従って、今後の締約国会議で本コラムの内容の提案書が提出され、審議されてゆくものと推測されます。


(中山 政明)


引用
















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