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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q598.TSCA PBTの濃度規制値について

2021年05月28日更新

【質問】

アメリカに現地工場を持っています。 TSCA PBTの製品の構成部品をGC-MS分析したところDeca-BDEを1%程度含有した部品類がありました。 TSCA PBTの濃度規制値はあるでしょうか。

 

【回答】

米国の有害物質規制法(TSCA)第6条に基づき難分解性、高蓄積性、毒性(PBT)を有する以下の5物質に対する最終規則が公示され、3月8日から段階的な施行が開始されました1)2)。


・デカブロモジフェニルエーテル:DecaBDE(CAS番号1163-19-5)

・リン酸トリス(イソプロピルフェニル):PIP (3:1)(CAS番号68937-41-7)

・2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノール:2,4,6-TTBP(CAS番号732-26-3)

・ヘキサクロロブタ-1,3-ジエン:HCBD(CAS番号87-68-3)

・ペンタクロロチオフェノール:PCTP(CAS番号133-49-3)


これらの物質およびこれらを含有する混合物ならびに成形品に対して、製造・加工および商業的流通が原則禁止されました。 各物質および用途によって規制内容や施行時期、および記録や情報伝達の義務が規定されています。 今回の概要は、当HPのコラムを参照下さい3)。


お問い合わせのPBTの濃度規制値に関して、以下の様に規定されており、施行時期とあわせてまとめました。

(1)DecaBDE:濃度基準は設けられていません。DecaBDEおよびDecaBDEを含有する混合物ならびに成形品の製造・輸入・加工および商業的流通が禁止されます4)。

3月8日から製造・輸入および加工は禁止され、2022年1月6日から商業的流通が禁止されます。また、接客業でのカーテン、原子力発電施設での電線やケーブル用途、自動車の交換部品などの用途によって施行猶予期間が設定されています。

(2)PIP(3:1):濃度基準は設けられていません。PIP(3:1)およびPIP(3:1)を含有する混合物ならびに成形品の加工および商業的流通が禁止されます5)。

3月8日から加工および商業的流通が禁止と規定されましたが、成形品に対する180日間の一時義務免除「No Action Assurance」が公表されました10)。また、接着剤やシーラント、写真印刷用品には施行猶予期間が設定されています。

(3)HCBD:濃度基準は設けられていません。HCBDおよびHCBDを含有する混合物ならびに成形品の製造・輸入・加工および商業的流通が禁止されます6)。用途による猶予期間は無く、3月8日から施行されています。

(4)PCTP:PCTPおよびPCTPを1wt%超含有する混合物ならびに成形品の製造・輸入・加工および商業的流通が禁止されます7)。

3月8日から製造・輸入および加工は禁止され、2022年1月6日から商業的流通が禁止されます。用途による猶予期間は設定されていません。

(5)2,4,6-TTBP:35ガロン未満の容器中に2,4,6-TTBPおよび2,4,6-TTBPを0.3wt%超含有する混合物、もしくは2,4,6-TTBPを0.3wt%を超えて含有するオイル・潤滑油の商業的流通が2026年1月6日以降禁止されます8)。


なお、次の適用除外が設定されています。

5物質共通として、研究開発用途、廃棄物や最終消費者へ既に販売された製品または成形品は、適用除外としています1)。


また、DecaBDEに関して、新たにDecaBDEを添加することなく、DecaBDEを含有するプラスチックまたはリサイクルプラスチックからリサイクル製品または成形品の製造・加工・商業的流通は、適用除外としています4)。

PIP(3:1)に関して、特殊な油圧用作動油、潤滑剤およびグリース、自動車および航空宇宙機向け新規部品および交換部品、新たにPIP(3:1)を添加することなくPIP(3:1)を含有する再生用プラスチックおよびそれらからなる最終製品および加工品などの用途での加工または商業的流通は適用除外としています5)。


HCBDに関して、塩素系溶剤の製造時における非意図的生成および廃燃料として焼却のための加工および商業的流通は適用除外としています6)。


従って、貴社におけるDecaBDEを約1%含有する個々の成形品が、上記適用除外に該当しない場合には、用途毎に設定された施行時期にあわせた対応が必要となります。


なお、EPAは、段階的施行の開始直後に、以下の点に対する意見募集を5月17日期限で実施しました9)。

・本規則により健康や環境への影響軽減が可能か

・追加または代替策の検討は必要か

・PIP(3:1)含有の成形品およびその用途に対する加工および流通の規制期限に対する本規則公開後に提起された問題


また、PIP(3:1)を含む成形品の加工及び商業的流通に対する義務を180日間免除する「No Action Assurance」が公表されました10)。

今後、規則内容の見直しが行われる可能性がありますので、ご注意下さい。


1)


2)


3)


4)


5)


6)


7)


8)


9)


10)

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