当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q596.食品加工用ロボットの保護用手袋にCEマーキングが必要でしょうか

2021年04月22日更新

【質問】

食品加工用のロボットを開発しております。 ロボットの手の部分にディスポ保護手袋を使用しますが、EUに輸出する手袋にCEマーキングは必要でしょうか。

 

【回答】

食品加工用ロボットが貴社製品ならば、その機能(仕様)により、以下のCEマーキングなどが適用される可能性があります。

・機械指令 Directive 2006/42/EC

・EMC指令 Directive 2014/30/EU

・低電圧指令 Directive 2014/35/EU

・RoHS(II)指令 Directive 2011/65/EU

・無線機器指令 Directive 2014/53/EU

保護手袋が構成部品の一つとして、ロボット専用に使用されるならば、ロボット自体が適用される指令に適合させることになります。


保護手袋を単体でEUへ輸出する場合は、上記の機械設備関連CEマーキングは対象となりません。


汎用的な人用の保護手袋の場合は、Regulation 2016/425/EU(個人用保護具 (PPE) 規則)1)が適用される可能性があります。PPEの対象は以下です。

(a) 人の健康または安全に対する危険を保護するために着用される、もしくは保持されるよう設計・製造された機器

(b) (a)で言及される機器の保護機能に不可欠で交換可能な構成要素

(c) (a)で言及される機器の接続システムで、人が保持又は着用していないもので、機器を外部機器もしくは信頼性のある定着点に接続するように設計されており、恒久的に固定されるようには設計されておらず、かつ、使用前に締結作業を必要としないもの


ディスポ保護手袋が「人」ではなく「食品ロボット」用ならば単独のCEマーキングは不要ですが、食品加工用なのでRegulation 1935/2004/EC(FCM規則)2)が適用されると思います。


同規則は食品安全の確保を目的として、食品への接触を意図した材料および製品(FCM、Food Contact Material & Article)の管理規則を定めています。


FCM規則は第5条で材質により特定の措置を定めることができ、附属書Iに記載のある以下を対象材料としています。

1. 能動(アクティブ)及びインテリジェント食品接触材料および加工品

2. 接着剤

3. セラミック

4. コルク

5. ゴム

6. ガラス

7. イオン交換樹脂

8. 金属および合金

9. 紙と板

10. プラスチック

11. 印刷インキ

12. 再生セルロース

13. シリコーン

14. テキスタイル

15. ワニスとコーティング

16. ワックス

17. 木材

ただし、これらすべてについて実施規則が告示されているわけではなく、業界標準などで運用されている場合もあります。


化学物質に関する規制としては、保護手袋の材質がプラスチックであれば、Regulation 10/2011/EU(プラスチックFCMに関する委員会規則(PIM)) 3)が適用されます。


PIM(Plastic Implementation Measure)はプラスチックFCMについて、ポジティブリストによる規制を採用しており、日本の改正食品衛生法と同じです。主な要件は下記のとおりです。イオン交換樹脂、ゴム、シリコーン製の場合は適用除外です。

(1) 原材料が附属書ⅠのUnion List(約800物質の組み合わせ表)に掲載されている認可物質であること

(2) 原材料が予測できる使用状況下に適した品質と純度を持っていること

(3) プラスチック材および製品成分の食品への移動量(約800物質の組み合わせ)が、附属書Ⅰに定める移動限界量(Specific Migration Limits、単位mg/kg)を超えないこと

(4) プラスチック材および製品成分の食品接触面への放出移動量が、dm2当たり10mgを超えないこと

(5) Regulation 1935/2004/EC(FCM規則)に対応した適合宣言を書面で行っていること

(6) プラスチック材および製品成分の食品への移動量検証を附属書Ⅴに定める手順に従って行っていること


また、日本の改正食品衛生法も同じですが、一般要求事項として、FCMから下記いずれかの事象を発生させる量の成分移行防止のため、適正製造規範(GMP)に準拠し、通常もしくは予測できる使用状況下で製造することを求めています。

(1) 健康被害を引き起こす

(2) 食物の組成に容認できない変化をもたらす

(3) 食物の官能特性を劣化させる

加えてラベル貼付、適合宣言、トレーサビリティー確保も必要です。


さらに、Regulation 2023/2006/EC(FCMのGMPに関する委員会規則)4) は、Regulation 1935/2006/EC(FCM規則)を受けて、FCMを取り扱う企業に適正製造規範(GMP)の導入を義務付け、その実現のため次のような具体的な要求事項を定めています。


(1)効率的な品質管理システムの確立および維持

GMPの実施・達成状況のモニタリング、是正処置の確立

(2)GMPの文書化(紙もしくは電子ベースどちらも可)

製品や材料の安全確保に関する仕様書、製造プロセス、

各工程のパフォーマンス、品質管理システムの結果などの記録・維持

所轄官庁からの要請時の文書や記録の提出

(3) 文書化された品質保証システムの確立

上記の(1),(2)に加えて、十分な知識や経験を持つ人員の確保

仕様書に基づいた原材料の選択、施設や設備の整備、が求められます。


仕組み(GMP)で遵法保証をしますので、GMPは文書化しておくことが肝要です。


参考:

1)Regulation 2016/425/EU(個人用保護具(PPE)規則)

https://eur-lex.europa.eu/legal- content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32016R0425


2)Regulation 1935/2004/EC(FCM規則)

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX%3A32004R1935


3)Regulation 10/2011/EU

(プラスチックFCMに関する委員会規則(PIM))

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/ALL/?uri=CELEX%3A32011R0010


4)Regulation 2023/2006/EC(FCMのGMPに関する委員会規則)

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=celex%3A32006R2023

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