当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • tkk-lab

Q610.北アイルランドでのCEマーキングの継続使用について

2021年12月17日更新

【質問】

当社は北アイルランドに電気電子機器を輸出しています。

英国ではCEマーキングの継続使用は2022年12月31日までとなっていますが、2023年1月1日以降も継続して使用できるか教えて下さい。

 

【回答】

イギリス(正式名称:グレートブリテン(GB)及び北アイルランド(NI)連合王国 United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland、以下UK)では2023年1月以降CEマークでの上市が不可能になり、UKCAマークの使用が義務化されました。当初は2022年1月からの施行でしたが、コロナウイルスの影響などにより1年延期されることになりました。

GB、NIとアイルランド共和国は、国境線管理で、審議され複雑な関係になっています。

UKとEUは実質的にNIをEU単一市場に残留させる目的で「北アイルランド議定書」注1)を締結しました。「北アイルランド議定書」2021年1月より発効しています。発効により製造者はEUの法規制に従ってNI域内に上市することが可能になりました。CEマークについても例外ではなく、一部の例外を除き、EUの法規制がNI域内で適用されます。


NIに電気電子機器(以下EEE)を輸出している貴社が2023年1月1日以降も輸出を継続するにはEU離脱による法規制の変更に対応する必要があります。対応方法は貴社のEEEのCEマークの適合性評価方法により変わります。


◆従来のCEマークをそのまま使用できる場合

下記条件に該当する場合にはEEEが関連するEU法令を遵守している限り2023年1月1日以降も引き続きCEマークを使用することが可能です。注2)


・自己申告に基づいてCEマークを取得している場合

・第三者適合性評価が必修で、EUの認定機関で適合性評価を受けている場合


◆新たにUKNIマークが要求される場合

“Guidance Using the UKNI marking” 注3)で、以下の解説がされています。

第三者適合性評価が必修で、UKの認定機関で適合性評価を受けている場合は2023年1月以降に輸出する時に、従来のCEマークに加えてUKNIマークを貼り付ける必要があります。UKCAマークはNIで使用することができません。


貴社がNIに輸出したのち、NI域内の輸入業者が製品をGB域内への輸送もしくはEU域内へ上市する場合にはそれぞれ下記対応が必要です。


(1)GB域内への輸送

◆CEマークのみ貼り付けている場合

UK国内の事業者へ国内の自由なアクセスを保証するため、NIの事業者がGB域内へ製品を輸送した場合にはNIでの輸出に使用したCEマークをそのまま使用することができます。新たにUKCAマークを貼り付ける必要はありません。注4)


◆CEマークとUKNIマークを両方貼り付けている場合

CEマークのみ貼り付けている場合と同じ理由からNIの事業者がGB域内へ製品を輸送した場合にはNIでの上市に使用したCEマークとUKNIマークを両方貼り付けた状態で使用することができます。


(2)EU域内へ上市

◆CEマークのみ貼り付けている場合

貼り付けているCEマークはEUの規則に準拠したものなので、EU域内へ上市する場合にそのまま使用可能です。


◆CEマークとUKNIマークを両方貼り付けている場合

EUではCEマークとUKNIマークの付いた製品は通用しません。

“Guidance Using the UKNI marking”では、NIからEUに輸出する場合に、“The UKNI marking is not recognised on the EU market. If you are placing goods on the EU market, you must use the CE marking on its own, without the UKNI marking. 「UKNIのマークはEU市場では認められていない。EU 市場に商品を上市する場合は、UKNI マーキングなしで、CE マーキングを独自に使用する必要がある」。”としています。


一方、EU規則No.765/2008/EC注5)では「CEマーキングの視認性、読みやすさ、意味が損なわれない限り、その他のマーキングを製品に貼付することは許される。」と記載されています。 その為、UKNIマークがCEマーキングの視認性、読みやすさ、意味が損なわれない限りCEマークとUKNIマークの付いたままで良いと考えられます。


日本からNI及びEU向けにそれぞれ輸出する場合は、両マークで問題は無いと思いますが、NIに輸出し、NIからEUに再輸出する場合はNIの輸出者が対応を要求される可能性があります。

 

注1)

https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/840230/Revised_Protocol_to_the_Withdrawal_Agreement.pdf


注2)

https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/949397/Guide-to-rohs-regulations-2012-northern-ireland.pdf


注3)

https://www.gov.uk/guidance/using-the-ukni-marking


注4)

https://www-gov-uk.translate.goog/guidance/moving-qualifying-goods-from-northern-ireland-to-the-rest-of-the-uk?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=op,sc


注5)

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=celex%3A32008R0765

閲覧数:521回

最新記事

すべて表示

【質問】 EUにパソコンの画像処理用のプリント基板を輸出します。 CEマーキングは必要でしょうか。 【回答】 CEマーキングは欧州経済地域及びトルコ等の欧州連合への加盟国に製品を出荷するときに必要されるマークの事で、NLF(NewLegislativeFramework)に対応させるためにRoHS指令、EMC指令、定電圧指令やRE指令などの約20種類のEU指令で要求されています。 CEマーキングの

2022年04月15日更新 【質問】 弊社は絹布を染色、刺繍などを施したアクセサリーを製造しています。 顧客からカドミウム、六価クロム、鉛、砒素は1ppm未満、フタル酸エステル類は合計1,000ppm未満との要求を受けました。 他の顧客はカドミウムが100ppm未満で他は1,000ppm未満です。 EU向け製品の場合のカドミウム等の1ppm未満の根拠法を教えてください。 【回答】 ご質問のカドミウ

2022年03月18日更新 【質問】 サプライチェーンが長い場合、適合確認書の入手に時間がかかることがあります。RoHS(Ⅱ)指令が更新された場合、全ての適合確認書の再入手が必要となりますが、全ての入手が終了するまで販売は停止すべきでしょうか? 【回答】 ご質問の自社が取り扱う製品が規制更新後の内容に適合することを確実にできない状態の場合、施行日以降は販売を停止する必要があります。 RoHS(Ⅱ)