当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q617.RoHS(Ⅱ)指令が更新された場合、適合再確認終了まで販売停止が必要かどうか?

2022年03月18日更新

【質問】

サプライチェーンが長い場合、適合確認書の入手に時間がかかることがあります。RoHS(Ⅱ)指令が更新された場合、全ての適合確認書の再入手が必要となりますが、全ての入手が終了するまで販売は停止すべきでしょうか?

 

【回答】

ご質問の自社が取り扱う製品が規制更新後の内容に適合することを確実にできない状態の場合、施行日以降は販売を停止する必要があります。 RoHS(Ⅱ)指令(2011/65/EU)(1)では製造者の義務として第7条にて以下のように規定しています。


「EEE を上市する時は、製造者は規定されている要求に従い設計、製造されていることを確実にすること」


RoHS(Ⅱ)指令更新の影響による販売停止を防止するためには、注意すべき条項の内容を確認し、貴社のサプライチェーンと情報共有できる体制を構築することが有効です。


◆RoHS(Ⅱ)指令の更新に関して注意すべき条項の確認

貴社及びそのサプライチェーンに影響を及ぼすRoHS(Ⅱ)指令の更新としては、第4条の有害物質の種類や含有量に関する規定または第5条の適用除外に関する規定などがあげられます。 附属書Ⅱに関係する第4条の更新は、対象範囲も全般に及び影響も大きいため、更新にあたっては十分な猶予期間を設けるものと想定されます。 例えば、フタル酸エステル類を追加した更新では、2015年6月4日に官報公示され、発効日は2019年7月21日というスケジュールでした。(カテゴリー8(医療機器)とカテゴリー9(監視・制御機器)は2021年7月22日)


一方で、第5条の適用除外に関する規定は、注目しているのはその関係者が中心で情報が十分に伝わらない可能性が想定されます。 これまで使用可能であった部品が規定の更新により使用できなくなるなど思わぬ影響が貴社へ及ぶ可能性があります。 以下に適用除外の見直し規定と対応について示します。


◆適用除外の見直し規定と対応

RoHS(Ⅱ)指令は、社会経済的に影響の大きいものについては、適用除外を認めています。適用除外については、科学の進歩や代替品の開発などを考慮して有効期限が設定されています。 有効期限の18ヶ月前までに適用除外の継続申請がない場合、適用除外が終了します。 適用除外の終了が決定された場合、12ヶ月~18ヶ月の猶予期間を設定することが規定されています。 なお、継続申請の検討中に有効期限を過ぎた場合は、適用除外が継続します。

貴社の対応としては、サプライチェーン内で適用除外の規定に基づいて、該当する部品がある場合、その適用除外の動向に注目しておくことがあげられます。情報収集の方法としては、当局による官報公示やRoHS(Ⅱ)指令に関する適用除外用途の評価プロジェクトにおける報告書などがあります。 代替品の有無など自社製品への影響度によっては、自社でRoHS(Ⅱ)指令に基づき継続申請することも視野に入れる必要があるといえます。 適用除外に関する概要や評価プロジェクトの状況は、欧州委員会(EC)のホームページから確認ができます(2)。


また、サプライチェーンが長くなっている場合、その分情報収集に時間がかかるため、情報伝達の効率を上げることも有効な手段の一つとなります。 例えばchemSHERPAなどを活用し、川上メーカーから情報伝達を受ける体制を構築することなどがあげられます。 このような情報伝達ツールを活用することは、RoHS(Ⅱ)指令だけでなく、幅広い法規制の更新に対応することにつながります。


貴社においては、サプライチェーン内で使用している部品などについて、法規制対応状況を把握し、的確な情報収集で対応する取り組みをしていくことで、法規制の更新による製品販売の中止など思わぬ事態を防止できると考えます。


(1) https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A02011L0065-20200901&qid=1609553485978


(2)

https://ec.europa.eu/environment/topics/waste-and-recycling/rohs-directive/implementation-rohs-directive_en

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