当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q628.中国向け電気製品の技術文書に対するEU CEマーキングの技術文書流用について

2022年10月14日更新

【質問】

中国向け電気製品の技術文書はEU CEマーキングの技術文書を流用してよいでしょうか。

 

【回答】

回答といたしましては、中国向け電気製品の技術文書をEU CEマーキングの技術文書を流用することは可能ですが、EURoHS向け技術文書と中国RoHS向け技術文書を、同じ内容の文書作成の規格に従い、同様の材料宣言の要件を満たすことが必要です。 以下、適合性を証明と技術文書の作成手順を説明し致します。


まず中国RoHS管理規則(電器電子製品有害物質使用制限管理辨法)1)における特定有害物質の非含有の要求への適合性を証明する手順について説明致します。

基本的な事項ですが、中国RoHSではEU RoHSと同様、定格電圧が直流1,500ボルト、交流1,000ボルトを越えない電気電子製品を対象としています。

次に、中国RoHSはRoHS管理規則の第17条で「電器電子製品の有害物質の制限使用は目録で管理する」2)とされ、現時点では第1次リストとして公表された以下の12品目について電気・電子製品の有害物質の使用を制限する技術的措置を講じる必要があるとされています。


対象品目

1. 冷蔵庫(ボックス型 800リットル以下)

2. エアコンディショナ(定格冷却能力≦14,000ワット)

3. 洗濯機(洗濯量10kg以下で乾燥機能を含む)

4. 電気温水器(500リットル以下)

5. 各種プリンター(印刷領域≦A3、印刷速度≦60枚/分)

6. コピー機(印刷領域≦A3、印刷速度≦60枚/分)

7. ファックス(スキャン機能を含む)

8 テレビ(チューナーがないがTV用であれば含める)

9. モニター(LCDやCRTを含む)

10. マイクロコンピュータ(デスクトップ、ハンドヘルド、タブレット等)

11. モバイル通信・携帯電話(GSM/GPRS、CDMA、CDMA1X等規格品)

12. 固定電話(IP電話を含む)


目録で管理される品目に非含有としなければならない特定有害物質は、以下の6物質と国家が指定するそのほかの有害物質(ただし現時点ではまだ指定された物質は無い)なっています。


1. 鉛およびその化合物

2. 水銀およびその化合物

3. カドミウムおよびその化合物

4. 六価クロム化合物

5. PBB

6. PBDE


最大許容濃度は、均質材料当たりEUのRoHS指令と同じでカドミウム100ppm(0.01wt%)、その他1,000ppm(0.1wt%)とされます。


そして、特定有害物質においても中国RoHSでもEURoHSと同様に、RoHS指令付属書Ⅲ、Ⅳのような、適合管理カタログ制限物質適用例外リスト3)がありあります。

また、適用除外規定があり、次の品目が適用除外となっています。4)


・発電所、送配電施設、建築物の給配電施設用のシステムおよび設備など、発電と送配電に関する設備

・軍事用の電気・電子設備

・特殊な環境や極端な環境で用いる電気・電子設備

・輸出用の電気・電子設備(注:輸出用の電気・電子設備は有害物質使用制限に関する輸出先国/地域の規定に適合しなければならない。)

・一時的な輸入製品または国内で修理し、販売はしない電気・電子製品

・科学研究/研究開発、テスト用の試験機

・展示会、見本市などに用いるが、販売しないサンプル、展示品など


適合性の確認と適合宣言5)

対象製品は非含有を確認し、技術文書を作成し自己宣言または第三者認証によるCGPマークを得て商品に貼付する責任を負います。

対象製品やその構成品の前記特定有害物質非含有の適合宣言は、次の2つの方法があります。

1つは、供給者宣言方式です。

供給者宣言は、供給者が適合宣言を行い上市後30日以内に、公共サービスプラットフォームに中国に代理人を立てて、適合報告として技術文書をアップロードします。

報告は、製品が電気電子製品の有害物質限度要求の適合証明は 2 種類の方法から選択できます。


(1) 供給者が委託した検証・検査測定機関により、関連標準に基づき宣言を行う製品中の有害物質に対して検査測定を実施し、製品の検査測定報告を作成する方法です。

検査測定機関は、生産者、生産企業などが 自ら所有し、かつ、相応の技術力を有する実験室でも、資格を備えた第三者の検証・検査測定機関でも良いとされています。

(2) すべてのアセンブリ、コンポーネントおよび部品、原材料の有害物質に対する判定を基礎として、供給者が適合報告を整理して作成する方法です。

EU RoHS指令に適合していれば、供給者宣言が可能になります。

供給者宣言はすべて宣言者が責任を負います。

もう1つは、認証機関による宣言です。

認証機関は、市場監督管理総局による承認が必要です。

認証機関は、相応の資格を取得した検証・検査測定機関に委託して、任意認証に関連する検査測定活動を実施するとともに、関連する検査測定データに基づき下した認証の結論に対して責任を負います。


今回のご質問の技術文書は前記適合宣言のうち供給者宣言方式において作成が求められるものですが、GB/T/36560:2018に基づいて作成されていることが必要です。そしてこのGB/T/36560:2018は、国際規格IEC63000:2016が基になっています。


EURoHSで規定されている技術文書の作成は、欧州規格EN IEC63000:2018で作成するとなっており、この規格EN IEC63000:2018は、国際規格IEC63000:2016に基づいています。 つまり中国RoHSとEURoHSの技術文書の整合規格である各々GB/T/36560:2018 とEN IEC63000:2018とは同じ国際規格に準拠して定められています。


また、適合性証明のために中国RoHS管理規則でも材料宣言を要求していますが、それは国際規格IEC62474:2012の要件を満たすこととされています。 この国際規格IEC62474:2012はEURoHSで要求される材料宣言でも引用規格とされています。

EURoHS向け技術文書と中国RoHS向け技術文書とは、同じ内容の文書作成の規格に従い、同様の材料宣言の要件を満たしています。

以上のことから、EURoHS向け技術文書は中国RoHS向けとして使用することが可能と考えられます。


1)中国RoHS管理規則

https://www.miit.gov.cn/zwgk/zcwj/wjfb/zh/art/2020/art_194a2e4687384cab9a2d258b94eceb12.html


2)电器电子产品有害物质限制使用达标管理目录(第一批)(現時点で有害物非含有を求められている12製品リスト)

http://www.cesi.cn/rohs/201905/5102.html


3) 適合管理カタログ制限物質適用例外リスト

https://www.miit.gov.cn/cms_files/filemanager/oldfile/miit/n1146285/n1146352/n3054355/n3057542/n3057544/c6086848/part/6086864.pdf


4) 中国RoHS電気・電子製品有害物質使用制限規制Q&A

https://www.miit.gov.cn/cms_files/filemanager/oldfile/miit/n1146285/n1146352/n3054355/n3057542/n3057545/c4777576/part/4777584.pdf


5)電気・電子製品の有害物質の使用制限に関する適合性評価制度の実施に関する取り決め

https://gkml.samr.gov.cn/nsjg/rzjgs/201905/t20190517_293827.html


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