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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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BPR附属書Ⅰへの2つの活性物質を収載

2021年06月27日更新

2021年3月10日に官報公示された2つの委員会委任規則 (EU) 2021/806 1) および 委員会委任規則 (EU) 2021/807 2) において「プロパン、ブタンまたは両者の混合物の燃焼によって生成した二酸化炭素 (以降「二酸化炭素」と略称 )」 および「ソルビン酸カリウム」を活性物質としてBPR 3) 附属書Ⅰに収載するための修正を行っています。

これら2つの規則はEU官報公示の20日後 (2021年3月30日) に発効しています。


以下にそれぞれの委員会委任規則の内容を紹介します。


1. 委員会委任規則 (EU) 2021/806

(規則前文)

(1)委員会委任規則 (EU) No 1062/2014 4) においては殺生物性製品に使用するために承認が必要な既存活性物質リストを確定している。そのリストには二酸化炭素が収載されている。


(2) 上述の二酸化炭素は、BPR附属書Ⅴに記載されている製品タイプ19の防虫剤、誘引剤として殺生物性製品への使用について評価されてきた。


(3) 報告書作成加盟国および評価所管当局として指名されていたフランスは2019年9月18日に評価報告書とその結論をECHAに提出した。


(4) 委員会委任規則 (EU) No 1062/2014の第7条(2) により殺生物性製品委員会 (BPC)は評価所管当局であるフランスの結論を顧慮して2020年6月16日にECHAの意見を採択した。


(5) 上記の意見によれば、二酸化炭素を使用している製品タイプ19の殺生物性製品はBPR第9条(1)(b)の要求を満足することが期待されている。 また、ECHAの意見ではこの活性物質 (二酸化炭素) は懸念がなくBPR附属書Ⅰへの収載が妥当であると結論づけている。


(6) それ故、ECHAの意見を考慮し、二酸化炭素をBPR附属書Ⅰに収載することは妥当である。

二酸化炭素は指令98/8/ECの第11条 (1) に規定されている要求に準拠している活性物質ドシエに基づき評価されているので、加盟国が本規則第7条 (3) に従って活性物質を確認していたかまたは指令98/8/ECの第11条 (1) に従ってそのようなドシエを受領していた物質 (二酸化炭素) はBPR附属書Ⅰのカテゴリー6に収載されるべきである。


(7) BPR第89条 (3) は、既存活性物質が既存活性物質の体系的な評価のための作業プログラムに含まれている場合、規定に従って経過措置が認められている。

この観点からBPR規則の第89条(3) の目的のために製品タイプ19の二酸化炭素の承認日はBPR規則第89条 (3) の第2文節に従い、認可申請に十分な時間をあたえるために2022年7月1日に設定すべきである。


(委任規則本文)

前文を踏まえ、BPR附属書Ⅰには第25条 (a) に言及されている活性物質リストのカテゴリー6として以下のエントリーが追加される。

(物質名) 

プロパン、ブタンまたは両者の混合物の燃焼により生成された二酸化炭素 (*)

( EC No 204-696-9、CAS RN R 124-38-9 )


(*) 第89条 (3) の目的のため、製品タイプ19のプロパン、ブタンまたは両者の混合物からの燃焼により生成される二酸化炭素の承認日は2022年7月1日である。


1.委員会委任規則 (EU) 2021/807

(規則前文)

(1) ソルビン酸カリウムはBPR第89条(1)で言及され、委員会委任規則 (EU) No 1062/2014に従って実施されたあらゆる既存活性物質を体系的に評価するための作業プログラムに収載された既存活性物質として評価 (assess) されてきた。


(2) 委員会委任規則 (EU) No 1062/2014の第7条 (2) に従って評価所管当局の結論を顧慮してECHA の意見が殺生物性委員会 (BPC) によって2014年12月4日に採択された。 BPR第90条 (2) で規定されているように所管当局による評価が2010年10月20日に完了したのでソルビン酸カリウムの承認申請は指令98/8/ECに従って評価され、ECHA はその意見においてソルビン酸カリウムを含んでいる製品タイプ8の殺生物製品は指令98/8/ECの要求を実現することが期待できると結論づけている。


(3) それ故、ソルビン酸カリウムは委員会実施規則 (EU) 2015/1729  5) により製品タイプ8の殺生物製品での活性物質としての使用が承認された。


(4) ソルビン酸カリウムは製品タイプ6の殺生物性製品への使用のためにすべての既存活性物質の体系的評価のための作業プログラムに未だに収載されている。


(5) 2014年12月4日のECHAの意見においても同様にソルビン酸カリウムはBPR附属書Ⅰに収載するための基準を満たしていると結論付けている。


(6) ECHAの意見を考慮し、BPR附属書Ⅰにソルビン酸カリウムを収載することは妥当である。 ソルビン酸カリウムは指令98/8/ECの第11条 (1) に従って受領されている活性物質ドシエに基づいて評価 (assess) されているので、ソルビン酸カリウムはBPR附属書Ⅰのカテゴリー6に収載されるべきである。


(7) BPR第89条 (3) は、既存活性物質が体系的な評価のための作業プログラムに含まれている場合は、BPR規則に従って経過措置が認められている。


この観点からBPR第89条 (3) の目的のために製品タイプ6のソルビン酸カリウムの承認日は、BPR第89条 (3) の第2文節に従い認可申請に十分な時間を与えるために2023年2月1日に設定されるべきである。


(規則本文)

以上の経過を踏まえ、BPR附属書Ⅰには第25条 (a) に言及されている活性物質リストのカテゴリー6として以下のエントリーが追加される。


(物質名/ グループ)

カリウム = (E , E) – ヘキサ – 2 , 4 – ジエノアート  (ソルビン酸カリウム)

(EC No 246 – 376 – 1 CAS RN (R) No 24634 – 61 – 5 )

(制限)

活性物質の純度の最小限度 : 990g/ kg (*)


(*) 当欄で示されている純度は、評価された活性物資の純度の最小限度である。 上市された製品中の活性物質は、もし評価された活性継物質と技術的に同等であることが証明された場合には同等もしくは異なった純度となる可能性がある。


まとめ

附属書Ⅰに収載されてる活性物質は、簡易認可手続きが利用できる物質が収載されています。(BPR第25条)

簡易認可のための殺生物性製品の条件は以下となっています。

・BPRに含有されているすべての活性物質がBPR附属書Ⅰに収載され、制限事項に従っている。

・BPR第28条 (2) に収載されているような懸念物質を含んでいない。

・ナノマテリアルを含んでいない。

・殺生物性は十分に効果がある。

・殺生物性製品の取扱い、意図された使用のために個人保護具を要しない。


第25条 (a) に言及されている附属書Ⅰのカテゴリー6には、加盟国が第7条 (3) に従い、活性物質ドシエの妥当性を確認したか、そのようなドシエをBPD第11条 (1) に従って承認した物質が収載されています。

BPR第95条においては、BPR附属書Ⅰのカテゴリー6に属する物質は、殺生物性製品を市場に販売している企業は活性物質および殺生物性製品の供給者が第95リストに収載されていない場合、2015年9月1日以降EU市場に上市できないと定められています。


この場合、EU域外企業は域内の代理人を通じて申請することができます。

第95条リストに継続して追加されるためには、以下のいずれかをECHAに提出しなければなりません。

(1) 活性物質の完全物質ドシエ (BPR附属書Ⅱを満足するドシエ)

(2) 完全物質ドシエへの情報参照権利書 (Letter of access)

(3) すべてのデータ保護期間が満了した完全ドシエへの引用

 

ただし、BPR附属書Ⅰのカテゴリー1~5および7の収載活性物質またはそれらを含む殺生物製品は対象外となっています。


今回の委員会委任規則により、BPR附属書Ⅰのカテゴリー6に収載された活性物質と承認された製品タイプによる殺生物性製品のEUへの輸出を考えている国内企業は第95条リストへの追加申請をEU代理人経由でECHAに行う必要があります。


(担当 : 瀧山 森雄)


引用







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