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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

Q638.PFAS類について25ppbの閾値に対する非含有の判断ついて

  • 執筆者の写真: tkk-lab
    tkk-lab
  • 2022年11月9日
  • 読了時間: 3分

2022年11月09日更新

【質問】

PFAS類の25ppb閾値に対して、何をもって非含有と判断するのでしょうか。

すべての製品材料、工程材料の精密分析を行わないとならないのでしょうか。

【回答】

PFAS類はフッ素系の物質全般を含むためすべてで4200物質程(1)あります。 そして国ごと、物質ごとに閾値も異なるために現状ではP F A Sの規制物質の含有を単体で判断することは難しいものとなっています。(2)


多数のP F A S物質を分別する方法としてマススペクトルなどのフッ素の検出に有力な分析手段が考えられます。 精密な分析方法による一括把握については、多額な費用を伴うため、現段階ではお奨めできません。


現在、すでに規制の始まっているPFOAやPFASなどで考えますと閾値は検出限界値に近い25ppb(1ppm=1000ppb)とごく微量のため、物質を絞り分析を行うことは可能となりますが混合物の場合、類似物質が多く、さらに閾値は、ごく微量なため、物質ピークが重なってしまい物質単体でのピーク特定が困難になります。 そのため、分析プロセスが必要になると考えられます。 各物質における分析の手法に対しては”PFAS Master List of PFAS Substance”(3)において順次記載されていきます。


そのため、以下の対策をとることで不使用、非含有の判断をしていくことが望ましいと思います。


1.スクリーニングによる判断

①S D Sによる判断

P F A S類の物質を意図的な添加の有無を、まずS D S(Safty Data Sheet)で確認を行い、S D Sへの記載がなければ意図的添加は0.1%以下であると判断することができます。


②分析による判断

RoHS規制のように蛍光X線分析(XRF)などではF(フッ素)の特定は行えないためマススペクトルなどを用いてP F A Sの有無でサンプルを判定します。


各物質が閾値以上含有している可能性を判断できない製品については、代替製品の検討、サプライチェーンによる調査又は上記のような詳細分析の実施など今後も試行錯誤が必要となります。


2.品質マネジメントシステムなどからの判断

工程において不使用であっても不純物、副生、コンタミで混入がないことを順法証明できなければ、非含有であるとは言い切れません。 そのため、PFAS物質の使用用途を特定し、化審法での例に倣い、各工業界からB A Tなどから適用除外の意見をあげることが必要となります。 また品質マネジメントシステムの運用よりサプライチェーン管理を行うような仕組みづくりが大切と考えます。


BATとは「利用可能な最良の技術 (BAT:Best Available Technology/ Techniques)」の原則、すなわち第一種特定化学物質 を「工業技術的・経済的に可能なレベル」まで低減すべきであるとの考え方に立ち、副生される第 一種特定化学物質による環境汚染を通じた人の健康を損なうおそれ等がなく、その含有割合が工業技術的・経済的に可能なレベルまで低減していると認められるときは、当該副生成 物を第一種特定化学物質として取り扱わないこととしています。(4)


今後強化されるP F A S類において全製品を分析対象とせず、上記に示しましたようなスクリーニングを行い、非含有であることを証明できるようなマネジメントシステムの構築を行う事が大切だと考えられます。


(1)PFAS Master List of PFAS Substance


(2)Q624 PFASの規制基準について


(3)PFAS Analytical Methods Development and Sampling Research


(4)PFOA 関連物質に関する BAT 報告書の事前相談について

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