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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q659.制限物質とCLSリストの関係について

2023年06月02日更新

【質問】

制限物質はCLSリストの中から選ばれるのでしょうか?まったく無関係ですか?

 

【回答】

REACH規則の制限物質(Annex XVII)は、特にCLSリストに限定されず、その物質の危険有害性およびEU域内での用途や使用方法によって、人や環境に容認できないリスクがある物質です。 加盟国・欧州委員会・ECHAから提案された候補物質から所定の手続きを経て、製造・上市・使用の制限が規定されます1)2)3)。


制限物質は、物質単体、混合物または成形品として、使用方法や用途により人や環境に容認できないリスクがあるが十分に管理されていないとみなされた物質です。 76/769/EEC指令での制限物質をAnnex XVIIに継承して始まりました。 物質の用途や使用方法によって製造・上市・使用に制限(禁止、条件付き許可等)が規定されます。


制限物質の提案から収載までのプロセスについては、ECHAのHPに説明および本コラムに解説があります3)4)。


制限物質の提案は、次の5つの方法で行われます。

(1)加盟国が提案

(2)欧州委員会がECHAに依頼して提案

(3)ECHAが、REACH規則の認可物質(Annex XIV)の中で成形品に使用される際に適切に管理されていないと考えられる物質について、主体的に提案

(4)セーフガード条項適用に基づく加盟国からの提案

(5)欧州委員会が、ECHAを介さずにCMR物質について提案


(1)の提案例として、現在パブコメが行われているPFASの制限案があります。 これは、ドイツ・オランダ・ノルウェー・デンマーク・スエーデンの5か国による共同提案です。

(2)の提案は、欧州委員会が適切な管理がされていないと考えた場合にECHAに要請します。 中鎖塩素化パラフィン(Medium-chain chlorinated paraffins (MCCP))やpジクロロベンゼンなど多くの例があります2)。

(3)について、認可では成形品が対象外のため、ECHAは、認可物質を成形品に使用することにより人の健康や環境に危険を及ぼさないかリスク評価を行います。 適切な管理がされていないと判断した場合には、ECHAが主体的に提案を行います。

(4)のセーフガード条項に基づく提案例として、フランスによるクレオソート及びその他のクレオソート関連物質で処理された木材の使用及び上市を制限があります5)。 (5)の欧州委員会独自の提案は、発がん性、変異原性、または生殖毒性 (CMR)が区分1Aおよび1Bに分類される物質、混合物または成形品に対して適切な管理がされていないと判断した場合になります。例として、衣類・繊維製品・履物用途へ33種のCMR物質の制限があります6)。


以上の通り、制限物質の対象としてはCLSリストに限定されず十分な管理ができていないとみなされる物質から選択されています。


提案後のプロセスは、REACH規則第68条から73条に規定されており、基本的には提案後に公表・意見募集、専門委員会での検討・意見書の提示、欧州委員会の決定と進み、制限物質として登録されます。 なお、(4)のセーフガード条項および(5)の一般消費者向け製品に対する欧州委員会の提案でのプロセスは、簡素化した手順で進められます7)。


1) 制限物質(Annex XVII)


2) 制限提案リスト(Registry of restriction intention)


3) Restriction process


4) 制限物質に特定される物質について


5) クレオソート及び関連物質で処理された木材の使用及び上市制限


6) 衣類または関連アクセサリー、繊維製品、靴に対するCMR物質の上市制限http://data.europa.eu/eli/reg/2018/1513/oj


7) REACH Restriction

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