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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q605.オーストラリアでのCEマーキング対応について

2021年10月27日更新

【質問】

オーストラリアの商社から当社製品の電子機器にCEマーキングの貼付要請が来ました。 どのように対応したらよいでしょうか。

 

【回答】

貴社は、CEマーキング対応について判断するために、貼付を要請したオーストラリアの商社の目的や意図を把握する必要があると考えられます。

オーストラリアの商社がその後EUへの上市・流通を意図している場合、貴社はRohs(Ⅱ)指令(Directive 2011/65/EU)(1)への対応として、製品にCEマーキングを貼付する義務が発生します。

一方で、オーストラリアの商社が必ずしもEUへの上市・流通を意図していない場合、CEマーキングの貼付は義務とはなりません。

なお、オーストラリアは電気用品を展開する場合、「Radiocommunications (Electromagnetic Compatibility) Standard 2017」(2)や「Radiocommunications Labelling (Electromagnetic Compatibility) Notice 2017」(3)に基づいて規格認証した電気用品に「RCMマーク」を表示することをサプライヤーへ義務付けています。CEマーキングの表示を妨げるものではありませんが、CEマーキング対応への記載はありません(4)。

以下に貴社が顧客の要求に応じて自社製品にCEマーキングを貼付するとした場合の対応について記載します。


◆CEマーキングの取得・貼付について

CEマーキングの貼付は、Rohs(Ⅱ)指令の第7条の製造者の義務として規定されており、以下の要求事項に対応することで貴社製品への貼付が可能となります。


・Rohs(Ⅱ)指令の要求に適合していることを示す技術文書を作成(10年間保管)

・指令No 768/2008/EC の附属 書Ⅱのモジュール A に従い、内部生産管理手続きを実施

・EU適合宣言書を作成(10年間保管)


CEマーキングに対応する場合、EUへの上市・流通が可能になる一方で、注意点も存在します(5)。 例えば、貴社と取引するオーストラリアの商社が貴社製品を転売し、転売先が貴社製品をEUに輸入した場合、貴社と取引関係のない企業がEUの輸入者となる可能性があります。 Rohs(Ⅱ)指令はEUの輸入者に輸入者の義務として、製造業者が要求事項を満たしていることを確認する義務を課しています。 したがって、貴社が関知していない企業がEUの輸入者として、貴社へ問い合わせをする可能性があります。 状況によっては、一定期間内に文書を提出などの要求も想定されるため、貴社は思わぬ対応を求められる可能性が否定できません。 このような事態を防止するために、契約により第三者への転売を制限することなどが対策の一つとして考えられます。


◆CEマーキングの取得・貼付のメリット

CEマーキングの取得・貼付はEUへの上市・流通が可能になる以外に貴社へビジネス上のメリットをもたらします。例えば、CEマーキングの要求事項に対応することは、貴社製品に国際的な信頼性を付与することにつながります。 アジア、オーストラリア、中東、アフリカなどの地域は、電源/周波数が230V/50HzとEUと同じであるため、CEマーキングを取得している製品はこれらの国々で受け入れられやすいと考えられます。

また、各国の法規制対応については同じEUの法令をベースとしているため、少ない労力で適合させることが可能となります。つまり、CEマーキングへの対応は貴社製品の海外展開を容易にするというメリットが得られます。


以上のようにCEマーキングへの対応は、法規制に関する対応だけでなくビジネス上の観点を考慮するなど様々な要素を検討する必要があります。 貴社においては、顧客との関係、CEマーキング対応のメリット、注意点などを踏まえたうえで、対応について判断することをお勧めいたします。


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