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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

Q622.ハロゲンフリー対応について

  • 執筆者の写真: tkk-lab
    tkk-lab
  • 2022年4月30日
  • 読了時間: 3分

2022年04月30日更新

【質問】

弊社はプラスチックの成形品加工を行っています。顧客の電気機器のメーカーからハロゲンフリーの要求がきましたが、含有を制限される物質が明確ではありません。

材料メーカーへの発注仕様書にどのように記載しなくてはならないのか教えてください。

【回答】

発注仕様書は、貴社が原材料を発注するにあたり、原材料メーカーと認識の齟齬を発生させないために、条件や内容を明確化する書類となります。 顧客の要求に応じて明確な指定がなく「ハロゲンフリー」と記載した場合、以下に述べるような理由により、貴社が顧客から要求されたものと異なる内容のものが納入されるリスクが発生します。 したがって、材料メーカーへ提示する発注仕様書の記載事項に関する貴社の取り組みとしては、ハロゲンフリーの内容を明確化するために、顧客の電気機器のメーカーとハロゲンフリーの定義について取り決めることが考えられます。


◆ハロゲンフリーについて

ハロゲンは元素周期表の17族にあたる元素の総称で、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)などが含まれ、その化合物は化学的に安定でプラスチックに添加する難燃剤などに用いられます。 ハロゲン化難燃剤は焼却時にダイオキシンが発生するとされているなど有毒性が指摘されており、リサイクル時に問題が発生することから、その使用に関し制限が必要とされています。 現状において、ハロゲンフリーに関して明確に定義した法規制は見当たりませんが、臭素系難燃剤をはじめとするハロゲン系難燃剤については、これまでに以下の様ないくつかの動きが確認できます。


電子ディスプレイのエコデザイン要件(1)

REGULATION (EU) 2019/2021は、ErP指令(Directive 2009/125/EC)が規定する実施措置の一つで電子ディスプレイのエコデザイン要件を規定しています。 この中の附属書Ⅱ D4項に電子ディスプレイの筐体とスタンドにハロゲン化難燃剤の使用を禁止するとの記載がありますが、ハロゲンの含有濃度の閾値等については規定されていません。


また、ハロゲンフリーに関しては業界団体が業界基準を定めているケースもあります。


一般社団法人日本電子回路工業会(JPCA)

JPCAは電子回路工業および関連産業の統計調査事業や標準化事業などを行っています。JPCAはハロゲンフリープリント基盤の規格としてハロゲンフリー銅張積層板試験方法(PCA-ES01)など種類別に規格を定めています。


国際電気標準会議(IEC)

IECは電気工学、電子工学、および関連した技術を扱う国際的な標準化団体です。 IEC 61249-2-21 (プリント基板と他の相互接続構造体材料のハロゲンフリーの規格)でハロゲンフリープリント基板の規格を定めています。


米国電子回路協会(IPC)

IPCは電子機器と部品の組立要件と製造要件の標準化を目的とする事業者団体です。 IPC 4101B(主に電気および電子回路の硬質または多層プリントボードに使用されるベース材料の規格)でハロゲンフリープリント基板の規格を定めています。


上記に挙げた3団体はいずれもハロゲンフリーとして以下の基準を定めています。


塩素(Cl)含有率:0.09wt%(900ppm)以下

臭素(Br)含有率:0.09wt%(900ppm)以下

塩素(Cl)及び臭素(Br)含有率総量:0.15wt%(1500ppm)以下


貴社の顧客のさらに川下のメーカーが独自にハロゲンフリーの基準を定めているケースも想定されますので、上記の内容などをベースに貴社の顧客と協議し、合意した内容を発注仕様書に記載することをお勧めします。





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