top of page

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q641.安衛法の化学物質管理責任者の義務や要件について

2022年12月02日更新

【質問】

安衛法の化学物質管理責任者の義務や要件をご教示ください。

 

【回答】

厚生労働省は、化学物質による労働災害を防止するため、労働安全衛生規則等の一部を改正しました1)。

ご質問の化学物質管理者に関して、安全衛生規則第12条の5に定められ、リスクアセスメントが義務付けられている化学物質(以下「リスクアセスメント対象物」)の製造、取り扱い、譲渡または提供を行う事業場ごとに、化学物質管理者の選任を義務化しました2)。

選任の要件および職務等は以下の通りです。


1. 選任が必要な事業場

化学物質管理者の選任が必須な事業場は、リスクアセスメント対象物の製造、取り扱い、譲渡または提供を行う全ての事業場です。業種や事業規模などによる適用除外の条件はありませんが、一般消費者の生活用製品のみを扱う事業場は対象外です。

工場、店社、営業所等の事業場ごとに選任しますが、個別の作業現場ごとの選任は必要ありません。 また、事業場の状況に応じて、複数名の選任も可能です。


2. 選任の要件

事業者は、事業場内の労働者から、化学物質の管理に関わる業務を適切に実施できる能力を有する者を化学物質管理者として選任します。

リスクアセスメント対象物を製造する事業場では、化学物質管理者として専門的講習の修了者または「これと同等以上の能力を有すると認められる者」から選任します。

製造以外の事業場では、資格要件を定めていませんが、専門的講習等の受講者からの選任を推奨しています。

なお、化学物質管理者の職務の遂行に影響のない範囲で、衛生管理者や作業主任者等との兼務は差し支えないとしています3)。


選任の要件にある「これと同等以上の能力を有する者」は、告示施行前の専門的講習の修了者、労働衛生コンサルタント(試験区分が労働衛生工学であるもの)、専門家告示(安衛則等)及び専門家告示(粉じん則)で規定する化学物質管理専門家です5)。

専門的講習のカリキュラムは、化学物質の危険有害性など5科目計9時間と実習3時間となっています4)5)。 自社での講習実施も可能で、厚生労働省は自社での研修方法の指針を公開する予定です6)。

また、外部講習として中央労働災害防止協会主催の講習会が開始されました7)。


なお、事業者は、化学物質管理者に対して必要な権限を与えるとともに、氏名を事業場内もしくはイントラ上での掲示等により関係労働者への周知が必要です2)。


3. 化学物質管理者の職務

化学物質管理者は、以下の当該事業場における化学物質の管理に係る技術的事項を管理します。 いずれの項目においても、リスクアセスメント対象物に対する対策を適切に進める上で必要不可欠な職務の「管理」です。 必ずしも化学物質管理者自らがラベル・SDSの作成や安全教育等を実施することは求められていません。


(a)リスクアセスメント対象物を製造または取り扱う事業場の場合

(1)ラベル表示等及びSDSによる通知に関すること

(2)化学物質に関わるリスクアセスメントの実施管理

(3)リスクアセスメント結果に基づくばく露防止措置の選択、実施の管理

(4)リスクアセスメント対象物による労働災害が発生した場合の対応

(5)リスクアセスメントの結果等の記録及び保存並びに周知に関すること

(6)化学物質の自律的な管理に関わる各種記録の作成及び保存並びにその周知に関すること

(7) (1)から(4)項の管理を実施するにあたり労働者への必要な教育


(b)リスクアセスメント対象物の譲渡または提供を行う事業場の場合

(1)ラベル表示等及びSDSによる通知に関すること

(2)前項の管理を実施するにあたり労働者への必要な教育


なお、ラベル・SDSの作成や教育を別の事業場が担当する場合には、担当する事業場の化学物質管理者が管理を行います。 また、外部機関へ依頼する場合には、依頼元の化学物質管理者が管理を行います。


化学物質管理者関連の施行日は2024年4月1日です。 化学物質管理者の養成や管理体制の整備など早めの適切な対応が必要です。


1)厚生労働省 「化学物質による労働災害防止のための新たな規制について」


2)労働安全衛生規則の改正省令(令和4年5月31日公布)


3)労働安全衛生規則の改正省令に関する通達(令和4年5月31日公布)


4)専門的講習の内容について(厚生労働省告示第二百七十六号)


5)専門的講習に関する通達(令和4年9月7日付け基発0907第1号)


6)安衛法則改正に対するパブコメ結果 Q87


7)化学物質管理者養成セミナー

閲覧数:54,640回

最新記事

すべて表示

Q686.化審法における第一種特定化学物質としてデクロランプラスの規制が始まる時期について

2024年04月05日更新 【質問】 POPs条約のCOP11で「デクロランプラス」が附属書Aに追加することが決定されましたが、化審法の第一種特定化学物質として規制が始まるのは何時頃でしょうか。 情報があればご教示ください。 【回答】 デクロランプラスを含むストックホルム条約による廃絶物質(附属書A)収載決定は2024年2月26日に通知されました(*1)。 この通知により、1年後の2025年2月2

Q685.PTFEの成形加工部品におけるPFOAの残留可能性と化審法との関係について

2024年04月03日更新 【質問】 PTFEの成形加工部品を購入して、電子製品の組み立てをしています。 PFOAが残留していることはあるでしょうか。 この場合は、当社は化審法の使用者となるでしょうか。 ご教示ください。 【質問】 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下、化審法)、第1条で「この法律は、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質に

Q684.アメリカの「Model Toxics in Packaging Legislation」(ひな形法)におけるPFAS規制の適用について

2024年03月22日更新 【質問】 アメリカの「Model Toxics in Packaging Legislation」(ひな形法)が2021年2月改正され、PFASが追加されましたが、各州法ではPFAS規制はまだ、食品包装などの一部に限定されているようです。 当社は工業用製品(B to B)を輸出していますので、2021年のひな形法のPFASは適用されないと思っています。この解釈は正しいで

コメント


bottom of page