top of page

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

  • 執筆者の写真tkk-lab

Q651.サプライヤからのSCIP情報の伝達拒否について

2023年03月10日更新

【質問】

SCIP情報の伝達をサプライヤに依頼したところ、当社ではSCIP情報の伝達は行わないと拒否されたのですが、SCIP情報の伝達の拒否は許されるのでしょうか?

 

【回答】

SCIP情報登録は、EUの法律である廃棄物枠組み指令(WFD:Waste Framework Directive)で義務づけられていますので、対象はEU域内の事業者であることから、EU域外の事業者である貴社及びサプライヤには適用されません(法的な義務はありません)。しかし、貴社の製品(成形品、複合体)や貴社製品を部品等で使用する製品をEU域内に上市するには、貴社のサプライチェーン下流側(顧客)にSCIP登録に必要な情報を提供する必要があり、貴社のサプライチェーン上流側(サプライヤ)から情報伝達されない場合は、代替の対応が必要になります。以下に解説します。


【SCIPデータベース登録のための情報伝達】

0.1wt%を超えて認可対象候補物質リスト(CLS:Candidate List of Substances of Very High Concern for Authorisation)にある高懸念物質(SVHC:Substances of Very High Concern)を含有する成形品またはその複合体を、EU域内で製造、加工、輸入、流通させるサプライチェーン関係者は、SCIPデータベースへの情報登録が求められます。従い、貴社の製品をEUで上市する最終製品として輸出する場合は勿論ですが、EUで上市する最終製品の部品等として使用される場合も、顧客(貴社のサプライチェーン下流側)からSCIP情報の伝達を求められることになります。


このため、サプライヤからSCIP情報伝達を拒否された場合は、以下の対応が必要になります。

・顧客に相談する。

(顧客製品がEU域外向けなどで、情報伝達要求がない可能性もあるため)

・サプライヤに再度情報提供を依頼する。

・自社で(分析などを行い)SCIP情報を取りまとめて提供する。

・代替可能ならばサプライヤを変更する。


以下にご参考のため、SCIPデータベースの概要について説明します。

【SCIPの概要】

(1)背景

2018年6月のWFD1)の改正で、無害な物質循環を図るために、製品及び材料中のCLS物質含有有無について全ライフサイクルを通じた情報伝達が必要であることが示されました。この第9条(1)(i)では、EU域内のすべての成形品供給者に対して、REACH規則第33条に従い、欧州化学物質庁(ECHA)に情報を提供するように要求しています。これに従い、ECHAはSCIPデータベースを構築し、2021年1月以降、成形品供給者はこのデータベースに情報提供が必要となりました。

(2)情報提供が必要な製品

・CLSに掲載のSVHCを0.1wt%超えて含有するEU域内で流通する成形品及びその複合体

(3)情報提供の義務対象者

・EU域内の製造者や加工者、輸入者、流通者等の成形品供給者

(ただし、商品を直接消費者に提供する小売業者等は対象外)

・EU域外成形品については、EU域内輸入者が義務を負う

(ただし、EU域外の成形品供給者は、必要な情報を提供することでEU輸入者を支援しなければならない)。

(4)提出すべき情報

提出すべき情報として、以下の12の必須項目があります。

(※:成形品のみ、#:複合体のみに必要な情報)

・製品名※:提供する成形品の名称

・成形品識別子※:欧州商品コード(EAN)、国際取引商品コード(GTIN)、グローバル商品分類(GPC)等の各種商品コード、カタログ番号、

ECHAが付与するID等

・成形品のカテゴリ※:合同関税品目分類表(CN)コード等を選択

・EU域内製造の有無※:はい/いいえ/非開示のいずれかを選択

・複合成形品中のCLS物質含有成形品の情報#:上記成形品特定情報の各項目

・成形品の数#:上記CLS物質含有成形品の数

・安全な使用方法:安全な使用に関する情報。特別な情報がない場合は、「CLS情報の開示以外に安全な使用に関する情報はない」旨を記載

・CLSのバージョン:確認したCandidate Listのバージョン

・含有するCLS物質:CLSから物質または物質群を選択

・含有濃度範囲:成形品内の物質の予想される含有濃度範囲

・材料分類:CLS物質を材料に含有している場合はECHAの材料リストから選択

・ 混合物分類:CLS物質が成形品の加工・組立時に用いられる混合物(接着剤、はんだ、コーディング材等)に含有している場合は、「欧州製品分類システム(EuPCS)」から選択

また、上記の必須項目以外の任意提供の情報もあります。2)


【参考資料】

1) 廃棄物枠組み指令(WFD)2008/98/EC (改正2018/851):


2)Detailed information requirements for the SCIP database :

閲覧数:1,303回

最新記事

すべて表示

Q680.POPs条約で規制される物質を含有する部品の在庫対応について

2024年02月09日更新 【質問】 自社製品に使用している部品にPOPs条約で規制されるデクロランプラスが含まれています。 日本ではデクロランプラスを規制する化審法は対象化学物質の製造とその使用を制限する法律のため、第一種特定化学物質が使用されている「部品の使用」は規制されていないと聞きました。 デクロランプラスを含有している部品が在庫として残った場合、化審法での規制開始後は、日本向け製品に限り

Q679.EU電池規則における小型電池を内蔵した機器への表記について

2024年02月02日更新 【質問】 EU電池規則の第13条および20条にて電池本体のサイズが小さく表記できない場合、包装及び電池に添付する書類に付することが要求されています。 小型電池を内蔵した機器については、機器の包装及び同梱書類にて表記対応する必要があるのでしょうか? また、上記でモジュールD1適用の場合、NB番号の表記はどのように対応すればよいのでしょうか? 【回答】 2023年7月28日

Q678.カナダ環境保護法(CEPA)における成形品について

2024年01月19日更新 【質問】 染料の製造・販売しており、その染料にはカナダ環境保護法(CEPA)のSchedule Iに該当する物質を含んでおります。 川下ユーザーがその染料により染められた染色布をロール状にしてカナダに輸出している場合、この染色布はSchedule Iに該当する物質を含む成形品に該当するのでしょうか? 【回答】 1999年カナダ環境保護法(以下CEPA)1)は、持続可能な

bottom of page