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当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。

法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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Q663.「Corrigendum to Regulation (EC) No 1907/2006」における訂正内容について

2023年08月04日更新

【質問】 「Corrigendum to Regulation (EC) No 1907/2006」と記載されている OJ L136 29.5.2007 では何がどのように訂正されたのかよくわかりません。 OJ L396 30.12.2006 の何をどのように訂正しているのでしょうか。

 

【回答】 OJとはOfficial Journal of the European Union、すなわちEUが発行する官報のことで、その中の法律に関するものがL Seriesになります。 OJ L136 29.5 2007(1)は、2007年5月29日付の法律に関するEU官報で、この中に「Corrigendum to Regulation (EC) No 1907/2006~」があります。


Corrigendumとは「訂正すべき間違い」や「正誤表」の意味であり、これはRegulation (EC) No 1907/2006(2)、すなわちREACH規則の訂正を意味しています。 この文書の中の中には、「Regulation (EC) No 1907/2006 should read as follows:」と書かれていますが、訂正箇所は示されず、REACH規則全文が示されています。 この官報はREACHが発行された2006年12月から半年後、2007年6月1日のREACH規則発効の直前に発行されています。


REACH規則発効前に、誤記や言い回しの修正などを行い、訂正箇所が多岐にわたるため全文を差し換えたものと思われます。 その後もREACHに関する訂正は何度も行われておりますが、それらの場合は訂正箇所を示して訂正前後の文言を記述しています。 例えばOJ L141 31.5.2008(3)p22では、Article 3(20)(c)について訂正前後の文言を記載しています。 ここでは、訂正の対象が「Corrected version in Official Journal of the European Union L 136 of 29 May 2007, p. 3」と書かれており、OJ L136 29.5 2007による訂正版を原本のように扱っています。 すなわち、OJ L136 29.5 2007による訂正は、初期の多くの誤記や表現を訂正したものとして、その後の個別の訂正とは性質が異なるものと考えるべきだと思われます。


これまで幾度もの改訂が行われているREACH規則ですが、その改訂履歴を確認する方法を説明します。 法律関連文書が検索できるEUR-Lex(4)にて、REACHの原本(Regulation (EC) No 1907/2006~)を検索すると、タイトルの下の方に「In force: This act has been changed. Current consolidated version: 29/06/2023」と表示され、最新版が2023年6月29日改訂であることがわかります(2023年7月24日現在)。 この29/06/2023あるいは、ページの左に表示されている改訂版一覧(「Hide all versions」の下)にある29/06/2023をクリックすると、最新版(5)が表示されますが、そこには本文中に改訂履歴も表示されます。 修正(Amended)はM、訂正(Corrected)はCで表され、それぞれに番号が付けられ、改定の根拠となる文書が示されています。 修正(M)は附属書への化学物質の追加や、他の法令の変化に伴う内容の修正などが含まれ、現時点で58件あります。 一方、訂正(C)は同じく8件で、その最初のC1がこのOJ L136 29.5 2007による訂正となっています。 200近くの訂正箇所がありますが、いずれも誤記や表現の修正であることがわかります。


(参考URL)

(1)EU官報OJ L136 29.5 2007


(2)REACH規則((EC) No 1907/2006)(初版)


(3)EU官報OJ L141 31.5.2008


(4)EU法データベースEUR-Lex


(5)REACH規則最新版(2023年6月29日版)

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